人の心

狐火 あずき

第1話 醜いもの

人は実に汚くて、残酷で、醜い。



僕は小さな頃から人が嫌いだった。だって、何を考えてるか分からないじゃないか。

きっと、そうやって考えているから、僕は何も考えなくなったのだろう。


そんな僕を変えた、ある一つの物語









「真琴!学校遅れるわよ!!!!!!」

母親が怒鳴る声。僕が学校へ行きたくないのを知っているのか?

僕は人間が嫌いなんだ!他人も家族も嫌いなんだよ!そう、自分自身だって嫌いになる時がある。

僕はいやいや学校へ行く。 いやいや授業を受け、いちばん嫌いな飯を食い、帰りの挨拶が終わり、僕は急ぎ足で家へ帰る。

その時だった。


ゴン!

痛!凸凹道に突っかかってしまった。

起き上がると、額から赤い何かが垂れて来た

そして、1人の女性がたっていた。

「大丈夫ですか?お怪我は無いですか?」

僕はドキッとした。なんで?なんで僕に話をかけるの?


大丈夫……。 ぼそっと言った

「良かったー! 」

その時の彼女の笑顔が僕の心の中に、こびり付いて離れなかった。


こんな気持ちは初めてだ。まるで作られたお話のような出会いだったが……




僕は初めて人を好きになった。







2話に続く……

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