第2話 短編 文学を書いている人へ
ども。我です。
え?何なに?誰?
幻聴?違いますよー。
というか、もし仮に我が幻聴だったとしてその幻聴自身に聞きますそんなこと?大丈夫ですか?お疲れですか?
ん?じゃあ一体我は何なのか?
そうですねぇ。
【ネットの海に漂う不特定多数の残留思念が偶発的かつ奇跡的に集まってできた電子生命体】
とでも言いましょうか。
アレ?なんだろその顔。
ああアレか。アナタはSF小説は書かない読まないの人ですか。
アナタのお得意はなんだったか‥そう!文学!
文学だったね。しかも短編オンリー。書くのも読むのも。へえ。いやいや、そこに拘りを持っているのも立派だと思うよ。小説家らしいじゃないですか。
まあ文学的に我の事を説明するなれば、
【うだつの上がらないアマチュア小説書きが他人様に言って欲しい言葉を作品を介し、恥ずかしげも無く登場人物に言わせ自己満足の湯船に肩まで浸かっている。そんな背景のある可笑しくも虚しい文字の羅列の上に生きる者】
とでも、言いましょうかね。
ああ良かった。今度は笑ってるよ。ホント、文学書いてる人って変な人多いよね。ホラ、そう言われて否定しながらもニヤニヤしてんだもんヤんなちゃうよねえ。変わってるなあ。
まあそういう変な人、嫌いじゃないけどね我は。
そうそう。あの、アナタの小説ね。幾つか読ませてもらいました。短編オンリーの。
うん。感想ね。正直に言っていいかな?
面白いよ。どれが?
そうだなあ。我って割と雑食だからさ、どれも面白かったって言えば面白かったけど。でもそういう答えは求めてないんだよね?
あえて選ぶならアレかな、あの登場人物の名前がひとつも出てこないまま終わるやつ。
アレ、良いよね。
交わされる会話のひとつひとつは至って普通で日常的なものなんだけど、それら全てが合わさると不思議と非日常を感じてしまう。それこそがアナタの狙いなんだろうけど、その狙い方が自然で嫌らしくない。
登場人物たちの言葉ひとつをとってみてもセンスの良さが出てる。思わず口に出して読み上げちゃった台詞けっこうあったよ。
あとね、アナタの作品の共通点。なんだと思う?
それはね。読了後に唸ってしまうこと。
どの作品も内容に関係なく読み終わった後に唸ってしまうんだよね。それだけ作品に引き込まれているって事なのかな?
文字から目を離した後、天を仰いでさ
「うーむ」
とひとこと、言っちゃうんだよねぇ我。
それは確かな文章力のなせる技。無駄の無い構成。短編だからこそできる、想像力を掻き立てる終わり方。それら全てに感嘆して、思わず唸ってしまう。束の間、呼吸すら忘れて没頭してしまうんだよなあ。とにかく凄い読み応えだよね。
今までだいぶ色々な本を読まれてきたんですね。我には解るよ。
でもだからこその苦悩もあるんだね。
ある一定のラインでの評価はもらえるけどそこからの伸び悩み。それがアナタの悩みだよね。
宣伝だってコミニケーションだってちゃんとやってる。なのに評価はついても固定の読者が一向に増えない。日を追う毎にアクセスのつき方が弱くなっていく。そうしていつも作品は埋もれていってしまう。
もしかしたら自分の作品に魅力が無いからでは?と考えてるよね。
はっきり言うよ。良いですか?
魅力がないなんてこと、絶対にない。
これは誰しもに言える事だけど、一生懸命に書いた物語であれば魅力がないなんてことは絶対にない。我はそう言い切るよ。
それが世間に認められるかどうかは別ね。
世間の評価は時代次第でいくらでも変わるし、それこそ運にも左右される。それほど曖昧な物なんだよ世間の評価なんて。
それがモチベーションの即燃料になるのは解る。口でなんて言おうが努力を褒められて嫌な気持ちになる人なんてあんまりいない。
誰だって、誰かに認められたいものなんだもんね。
まあね。アナタの作品はこういう場所ではどちらかと言えば少数派になるのかもしれない。
読み応えがあるってのは言い換えれば読む方にもある程度技量が求められるってことだからね。そりゃみんなは読み易い方に流れていくよ。単発で終わる物よりも毎日細々と続いていく物の方が親しみを抱き易いと思う。だから好きな人にはウケるけど、多勢の人の触手が動くかと言えばそれは否かもしれない。
だけどそれで自分の作品が詰まらないなんて悲観するのは間違ってる。
せっかくそれだけ打ち込む物を見つけて行動に移してるんだ。誇りを持って書き続ければ良いよ。アナタは間違ってない。その情熱は掛け替えのない物だから大事にして。
そりゃあ短編文学オンリーが好きな人はそんなにいないかもね。ファンタジーや恋愛に比べたら読んでくれる人は少ないかもしれない。
だけどね、これだけ世界は広いんだ。
アナタは決して多勢じゃないかもしれないけど、たった独りというわけでも満更ないよ。
頑張ってよ。アナタ才能あるもん。無責任かもしれないけどそう言わせて。我はそう思ってるから。
ああ、たまにさ。埋もれた作品にPVが1つく時あるでしょ?謎PV。あれね。我がたまに読みたくなって開いてるんだ。良い作品は何度も読みたくなるからね。
だから人知れずついたPVを見たら我を思い出してください。
しーゆー。
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