非科学達は今日も踊る
林 佑
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はるか古来より、人間の周りには神秘が満ちていた。
その神秘はある時は人間と同じ姿に、ある時は自然そのものに、ある時は物理的にありえない怪異の姿に姿形を変えては人々に繁栄をもたらし、同様に被害を与えてきた。
そんな存在に対し、人々は大いなる存在に対し尊敬と畏怖をもって彼らなりのあらゆるアプローチを試みる。
ある民族は、彼らをこの世界を創りだした神として崇め奉りその庇護下に入ろうとした。
ある民族は、彼らを滅するべき邪悪と断じて討伐した。
ある民族は、彼らを上位存在と認識して生け贄を捧げることでその牙から逃れようとした。
ある民族は、彼らを親愛なる隣人として共存の道を歩んだ。
ある民族は、彼らを自分たちの力として戦いに利用した。
それから長い時が流れ、人々の文明の発展とともに神秘は科学により否定される。
かつての神話はファンタジーと同様の扱いを受け、古代の神秘は人々の信仰を失うとともにその力を薄めていった。現在、超自然的現象はすべて科学という概念に塗りつぶされ、エンターテイメントの一つとしてメディアに消費される。信仰という行為も、神に対する信仰から人間のための信仰へとその在り方を変えた。
しかし、科学に否定されたはずの神秘は、なぜか消え去りはしなかった。
怪談、幽霊、都市伝説。
かつて神秘と呼ばれていたであろう存在達はそう呼ばれて現代の人間達の間に息づいている。その中には皮肉にも、科学の存在によって生じたものも少なくない。
いつからか人々は、これら現代の神秘にかつてのものと別の名前を与えた。
現在の科学では説明のできないもの、「
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