第9話 鎌倉出立
武に長け、戦上手の
平氏は幼帝と三種の神器を持ち西へ戦わずして逃亡。
京へ入った
戦にも出ず、御一行は思い思いに日々を過ごしていたのである。
「今日もヒマじゃの……」
「なにもしなくても三食、食えるんだからいいじゃないですか殿」
三郎が横になったまま応える。
とても殿と家人には見えない。
「ときに……他の皆はどうしてるんだ?」
「あ~ベン・ケーは、
「
「あ~、最近ですね~思い人が出来たとか……」
「思い人?えっ?一応聞くが……男か?」
「まぁ、そのようで……」
「また、爺さんかの~、亀甲縛りが得意な特殊性癖の爺さんかの~」
「いや!それがですね、
「稽古のぉ~、なんの稽古だろうの~、変なことしてなければよいがの~」
「なにかあったら、殿のせいになりそうですもんね」
(本当に大丈夫かの~)
「そういえば、殿、
「なんと、
「それで……
「まぁ、それも当然じゃの~」
「なんと!
狼狽する
「あのような
金切り声を張り上げる女性、
「殿!
「お、おぅ!もちろんじゃ……が、うしろの
「恐れながら……
「九郎だぁ~貴様は誰の家臣か言うてみよ!」
「あれは、我の弟なれど、
「申し訳ありません」
「下れ!」
「殿、よい判断でございましたな」
政子が
「そうであろ!」
「はい、義経を向かわせれば、奥州17万騎が義経の後ろ盾と認めることになります、さすれば、北条家を後ろ盾とする殿と立場は同じ、京の
(そういうことか~、あぶね~、なんとなくだったんけど……)
――しばしの月日が流れ
平家を追討せんと西国へ出陣した
この報を聞いた、
ある意味、平氏一門より喜んでいたのである。
京へ逃げ帰った
院は敗れた
「さて、どうしたものか……」
上機嫌の
板挟みでもある。
「殿!九郎殿を使いなさいませ」
「九郎?」
「左様、仮にも院の要請なれば、他のものでは礼を欠きます。九郎殿であれば殿の代官として務まりましょう」
「しかし、それでは義経が
「いいえ、九郎殿には少数の兵で向かわせます、おって大軍を送ります」
「大軍の将は誰に?」
「
「
「ウツケだから良いのです。
「で、義経には、誰を付けるのじゃ?」
「
政子と
「義経!我が代官として京へ、兵五百を与える、これをもって
「景時!義経は初陣じゃ……そちを九郎の
「はっ」
かくして、義経は不本意ながら少数の兵を与えられ、敗戦濃厚の初陣に出向くのである。
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