Kepler-1649

 いつものバス停にて――


「八年前のバ~キンでは一〇〇円でベ~コンを一五枚増量できたっ!?」

 月夜がなぜかグルメ系アプリの中にあった、そんな記事を読んでいた。


「そ~だったんだっ!? 八年前だと……ちょうどウチが牛丼食べてた頃――っ!?」

 月夜の人生ではたいてい「牛丼食べてた頃」いえばどこでも該当してしまう。


「なぜ! なぜウチは八年前にバ~キンに行かなかったのっ! 一〇〇円で一五枚なら二〇〇円だして三〇枚にするのにっ!」

 そんな独特な悔しがりかたをしている月夜の隣では、


「ん〜……ガルガンチュアもラスアスのエンキ……」

 イブキがゲ〜ム情報を見ながら、そんな声を洩らしていた。


「いいニュ〜スといえば300コ〜ネンさきにチキュ〜がたワクセ〜がはっけんされたことかなぁ〜」


「それいいニュ〜スなの?」


「いいニュ〜スじゃない? 300コ〜ネンならがんばればいけそ〜だし」


「行けないと思うケド」


「こんかいハッケンされたのだってお〜きさがチキュ〜の1、06バイ――ほとんどイッショなんだよ! これはなんかいるよっ‼︎ ちてきセ〜ブツがいちばんいいけど、ザリガニぐらいはぜったいいる!」


「ザリガニ……おいし〜のかしら?」


「ただタイヨ〜にあたるコ〜セ〜がフアンテ〜らし〜んだよねぇ〜。ふだんはタイヨ〜よりやるきないのにときどき『ドカンっ!』ってがんちゃうんだって、セ〜ブツにはよくないみたい……ザリガニいるかなぁ〜」


「――って、これいいニュ〜スなの?」

 首を傾げながらそういう月夜だった。

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