み~といんぱくト。

 いつものバス停にて――


「も~すぐニクの日♪ も~すぐニックの日♪」

 上機嫌でそんな歌を口にしながら、グルメ系アプリを見ている月夜。


「ん~……おもったより盛り上がってないな~四年に一度なのに! 次の肉の日がくるまでには小学生が高校生になるぐらいの時間が必要なのよっ! みんなわかってんのかしら」

 首相が二週間の大規模イベント自粛を求めているのをヨソに停滞ム~ドに憤慨する月夜。


「牛丼一〇〇円セ~ルとかステ~キ全品半額とか、肉の日限り消費税0とか景気の良い話しはないのかしら? 肉の日なのよっ!」

 そんな事を言っていると、


「29ニチだけどぉ〜」

 テクノロジ〜系ニュ〜スの記事が映ったスマホ画面を見せながら、


「もしかしたらニクのヒどころじゃないかもよ?」


「二月二九日に直径二〇〇メ〜トルの隕石が地球に接近? NASAが発表」


「そそ。このサイズならジンルイめつぼ〜とはいかないけど、そこそこカイメツてきなサンジになるねぇ〜」

 危機感が全くない声で言う。


「いまのところ衝突はないんでしょ?」


「いまのトコねぇ〜。でも、ほらコトシなんかいっぱいおきてるじゃん、NASAもジソク4マンキロをきるとショ〜トツのカノ〜セ〜もあるっていってるし……もしかしたねぇ〜」


「大丈夫よ」

 そういってバス停を掴むと――


「ふんっ!」

 槍投げの要領で空へと投げる!


 曇天を一条のバス停が貫き朝日を輝かせバス停は第二宇宙速度に迫り、さらに加速していく!


「肉の日はウチが守るっ!」


「お〜! ダ〜クドレアムのギガスロ〜みたい」

 大気摩擦によって真っ赤な登り竜になったバス停を見上げながら、そういうイブキだった。


 小惑星2015BK509は二九日午前九時三〇分ごろ最接近。

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