ご~すとば~ガ~。

 いつものバス停にて――


「はぁ~……」

 月夜が寒くなりはじめた朝空に向けて、


「中華まんおいし~」

 両手にホカホカの中華まんを持ち、交互に口に運びながら言う。


「日本の冬は中華まんよね~……」

 遥か太古からある伝統的な食べ物のように言いながら、


「一年中やってほし~わよね~。肉、肉まんだけでいいから、むしろシ~ズンオフのときは、その機械貸してくれないかしら?」

 そんな無茶を言いながら、左右の手に一個づつもった中華まんはドンドン減っていく。


「おぉ! これはおもしろいっ!!」

 イブキが何かの記事を読みながら、そんな声を洩らす。


「月夜、月夜」

 興奮ぎみに月夜の肩を『バシバシッ!』と叩く!


「いたっ! 痛いって!!」

 中華まんを落とさないように気を付けながら、そんな抗議をする。


「これみてよっ!」

 非難の籠った視線を無視しながら、スマホ画面を見せてくる。


「なにこれ? ハンバ~ガ~?」

 画面には何の変哲もないハンバ~ガ~――ビ~フパティ、トマトにレタス、タマネギとピクルスにケチャップとマヨのかかった、白ゴマがついたバンズが特徴的なハンバ~ガ~の画像。


「これたべにいこ~よっ!」


「アンタからそんな事言ってくるなんて珍しいわね……でも、そんな記事あったかしら?」

 同じアプリを見てるハズなのに見覚えのない記事に首を傾げる。


「だって、これオカルトけ~だモン」


「ん?」


「ハロウィンにあわせてオバケとはなせる――レ~バイシさんをよんで」


「んぅ!?」


「11ニンのオバケをよんで、ハンバ~ガ~たべさせてオバケが「good」っていったモノをショ~ヒンかしたんだってっ! おもしろそ~じゃない? いこ~よっ! オバケがおいし~っていったハンバ~ガ~」


「……いや、いい。よってきちゃうじゃない」

 青い顔をしたまま、先ほどまで豪快にかぶりついてた中華まんをチマチマ口に運びながら、そう返す月夜だった。

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