ぜぶラ。

いつものバス停にて――


「牛丼カツドンっ!」

月夜が背後に『ドンっ!』という効果音を背負いながら、そんな声をあげる。


「ついに……ついにきたわね。丼×丼」

グルメ系アプリの中にあった、カツ丼チェ〜ンの新メニュ〜を見ながら、


「牛丼になに丼をいれてもおいし〜法則っ! 牛丼は全にして一。この世の全ての物は牛丼からなってるといっても過言ではないわっ!」

そんな過言すぎる事を口走りながら、


「今日からなのね! ぜひ食べないとこの記念すべき丼。いつかは牛丼×牛丼に繋げるためにっ!」

それただの大盛りじゃねぇ? っとゆ〜発想はなく。言い切る。


「ムシさされヒガイがハンブンになるホ〜ホ〜っ⁉︎」

月夜が盛り上がる隣でイブキがそんな記事を読んでいた。


「そんなホ〜ホ〜があるのかぁ〜。いでんしソ〜サでぜんつめつケ〜カクがダメだったから、ほかのためさないとねぇ〜」

そんな事を言いながら続きを読み進める。


「ハエやアブにさされてカワイソ〜なウシさんにシマウマのようなモヨ〜をかいたらヒガイがはんぶんっ⁉︎ シマウマもよ〜にはムシよけのコ〜ガがあるっ! ふ〜みゅ……」

イブキは自身に縞々模様をペイントした姿をイメ〜ジする。


「イブキさんゼブラっ!」

ヒ〜ロ〜のようなポ〜ズをとりながら、


「変な風に日焼けした可哀想な子って思われるだけよ」

月夜が冷静にそう言うのだった。

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