ないものはもめない!

 いつものバス停にて――


「はむはむはむ――」

 今日も茹る様な暑さの中で、両手にアメイカンドッグを持ち交互に口へと運ぶ。


「んふふふふふふ――」

 月夜は次はどっちにかぶりつこうかと、左右のアメリカンドッグに視線を走らせる。


「ミニストップのアメリカンドッグ今日まで安いのよね~。帰りにも買っていこ」

 そんな事を呟きながら、カリカリの外側とホクホクのウィンナ~を見詰める。


「このあっついのによくたべられるね~」

 スマホ片手に呆れ顔のイブキがそう言ってくる。


「え~! ミニストップってね、レジ注文はいってから最終加工するからおいし~んだよ!」


「いや……そんなコトきいてないし。おっ! ちかくにいるっ!!」

 そんな事を言いながらキョロキョロと挙動不審になるイブキ。


「またモンスタ~? 飽きないわね~……」

 そういう月夜は何かを思い出した表情になると、


「そういえば……」


「ん?」


「PokemonGoに夢中になってた女子高生が変質者に――あぁ~……その心配はないかぁ……」

 言いかけて途中でやめた月夜に、


「なになに? きになるよ~」


「ん~……PokemonGoに夢中になってた女子高生が変質者に襲われちゃったんだケド……アンタはへ~きかな~って」


「えぇ! イブキさんみたいにカワイイJKはタイヘンじゃない!!」


「被害者は胸を揉まれちゃったんだケド……ほら、いくらレベルの高い変質者でも無い存在(モノ)は揉めないじゃない! だからへ~きよ」

 キッパリとそう言い切る月夜だった。

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