お~みそか。

 いつものバス停にて――


「おぉ~みそかぁ~!!」

 バァ~ン!! っと両手を広げ高らかに叫ぶイブキ。


「――でもガッコ~……」

 広げた両手と肩をガックンと落としてわかりやすく落ち込むイブキ。


「ほらほら、明日の一日は休みなんだからそんなに落ち込まないの」

 と、なんとか励ます月夜に、


「うそうそ~! イブキさんはこんやのおとしだまにメがくらんでるモンっ! もうキョ~のホシュ~とかぜんぜんシカイにはいってないんだからっ!!!」


「いや、そこは眼中に入れときなさいっ! アンタのためにやってんだからっ!!」


「ふふ~ん! イブキさんはミライにいきてるのだっ!」


「未来って目先のイヤな事を見ない様にしてるだけじゃん」


「ふふん!」

と、イブキはないムネを張る。


「いや、褒めてないから……まあ、いいわ。それよりも――オモチ、年越しソバ、御雑煮楽しみ~」


「……けっきょく、月夜もうかれてんじゃん」

 納得いなない表情でそう洩らすイブキもどこか楽し気な大晦日の朝だった。

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