はたらくもの。

 いつものバス停にて――


「あぁ〜……そろそろシンキシュでるんだぁ〜おかねほし〜な……」

イブキがiPhoneの次世代機の情報を見ながら呟く。


「ウチのお店くる? いま丁度忙しいし――」


「え〜! はたらきたくない‼︎」


「アンタ、3秒前になんて言ってたかおぼえてる?」


「おかねほし〜っていったケドはたらきたいとはいってないモン!」


「働かないでお金もらえるワケないでしょ!」


「はたらきたくないケド、おかねはほし〜のっ! なんでわっかんないかな〜」


「ずいぶんとワガママな言い草ね」


「かわいかった?」


「ん?」


「ほら、これ」

 そういってイブキが見せるスマホ画面には――


「『なにかをネダるワガママな女の子はカワイイ』?」

 そんな如何わしい記事が映っていた。


「ねね、カワイかった?」


「うん。とっても――」

 月夜は笑顔でそう言うと、『ス~』とカバンを持ち上げ――音もなく――いや、音を超える速度で振り下ろした!

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