ぱん。
いつものバス停にて――
「パンでもつくるかぁ〜」
突然、イブキが謎のパン職人宣言をする。
「パン? なんで? ど〜してそんな唐突に?」
月夜が当然の疑問を口にする。
「ふふり――これ見てよ」
そういってイブキが愛用している、如何わしいニュ〜スを扱ってる情報サイトが写しだされたスマホ画面をみせる。
「……またマイナビかぁ……えっと……なになに……『男性ウケがイイ、パン作りが上手な女子』?」
「そうなんだよ! オトコのヒトはパンつくれるオンナのこにイイいんしょ〜しかみたないみたいなんだよ‼︎ これはタイヨ〜のテをもったイブキさんがやるきゃないよネ‼︎‼︎」
「そんな大層なモンもってるんだっ⁉︎」
「うん! ノリでいっちゃっただけだけどね」
「でもさ〜」
「ん?」
「パン作れるってど〜やってアピールすんの?」
「えっ!」
「だって生地コネ歩くわけにはいかないし、基本、家でやるワケでしょ? ど〜やって知ってもらうの?」
「う〜ん……パンをくばりとか?」
「このご時世に店を構えてない得体の知れない人の作ったパン食べてくれるかな〜」
「じ、じゃ……う〜ん……」
結局、アピール方法が見つからず、月夜専用パン職人になってしまうイブキだった。
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