ぜんじど~じぶんせったくき。

 いつものバス停にて――


「洗車機みたいに自分を洗ってくれる機械!?」

 月夜がそんな記事を読んで理解不能といった不思議な声を上げた。

「あ~わかる、わかる。ガッコ~おわったらダルいもん」

「ダルって……お風呂ぐらいはいりなよ」

 月夜がちょっと引きぎみに、

「入ってるよ! イブキさんさっぱりしないとねむれないから、はみがきとかもわすれると口のなかがなんかヌルヌルしてきもちわるくてゼッタイねれないよ」

「あ~そういえば「メンドイ、めんどい」っていいながらイブキは意外と潔癖症だったわね」

「ぬ~いがいはヨケ~だよ」

「部屋も本やゲ~ム機とか物いっぱいなのにキッチリ整理されてたしホント意外~」

「だって、本とかよみたくなったらすぐとりだせないとフベンじゃん?」

「その即効性をぜひ宿題――」

「あぁ~なんのはなしだっけ? ジド~オフロだっけ?」

「いやあ……そ~なんだけど……」

「みせて、みせて~」

 そういって月夜からスマホを受け取るイブキ。

「なんだ。あらうサギョ~はじぶんでしないといけないんだ」

「そ~みたいね。濯ぎだけって書いてあるね。髪も洗えないみたいだし」

「なんかあんまイミないね~」

「そ~だね。家で美容室なみの洗髪とかできたらいいのにな~」

 月夜が自身の長い黒髪をいじりながら少し贅沢な望みを呟いた。

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