いっかくせんきん。
いつものバス停にて――
朝からイブキは頭にベレ~帽をちょこんとのっけて、一心不乱にスケッチブックに筆を走らせていた。
「さっきからなにやってんの? イブキ」
いつもと違いすぎるイブキの様子に月夜が尋ねる。
「これだよ、これ――」
そういってスケッチブックから目を離さずに自身の新型スマホを月夜に差し出す。
「なにこれ!? おっきい!?」
月夜が受け取ったスマホの大きさに驚き。
「おとさないでよ月夜。せっかくアルバイトしてかったんばっかなんだもん」
「うん。ちょっとあぶなかったけど……ウチのと形そのままで大きさだけ変わってるからちょっと扱いがむつかしい」
月夜が落とさない様にしっかりと両手でスマホを持ち、画面を見る。
「LINEで使うスタンプのイラストで1000万円稼いだ人」
「そそ」
「売上ランキング上位10位までの平均金額は2230万円で配分は5割がマーケットサイトで5割が作者――あ~それでイブキも狙ってんのか~」
「そそ。イブキさんのゲ~ジュツがバクハツするよぉ~!!」
自信満々のイブキの脇から月夜がそっとスケチブックを覗き込む――
「…………」
そこに描かれていた臓物とイモムシと木の根の晩さん会のような抽象画(?)におもわず月夜は言葉を失う。
「よ~し! ケッサクかくよぉ~!!」
せっかくやる気になっているイブキを想い月夜はのど元まででかかった言葉を飲み込んだのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます