ごろごろ。
いつものバス停にて――
「あ~! ネコだ! ネコがおる!!」
近くを歩いていた黒ブチの猫を見つけるとイブキは近づいていき――
「あんんましケ~カイしてない。セナカをモフモフできそう」
人懐っこい性格なのか誰かに飼われている家猫なのか、はたまた単純に機嫌が良いだけなのか定かではないがソォ~っと伸ばされる手に猫はなんら抵抗を示さなかった。
「お~!」
イブキが背中をさすると猫は地面に腹をつけ座り込んだ。
「お~! カワイイしにげないぞコイツぅ~」
まったく警戒しない無防備な猫にイブキは尻尾やアゴの下まで撫でまわす。
「ゴロゴロいてる」
しばらくすると猫のほうもゴロゴロとノドを鳴らしはじめた。
「でも、ど~してゴロゴロなるんだろ?――あっ!」
いままでされるがままになっていた猫は唐突に立ち上がると、そのまま走り去る。
「ね、猫がゴロゴロ鳴らすの知りたい?」
そういう月夜は伸ばしかけた腕をそのままに目には滝のような涙を流しながら、
「そ、そんなにさわりたかったの? ネコ」
「うん」
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