めてお。

 いつものバス停――は、いま数時間後に夜明けを迎えるまで静かで佇んでいた。


 日本時間9月8日午前3時ごろ。

 月夜は自宅のベッドでグッスリだった。お気に入りのパジャマを着てネコなのかイヌなのかタコなのかよくわからない生き物を模した抱きマクロにひっついって静かに寝息をたたていた。

 ブ~ン、ブ~ン、ブ~ン――

 そんなみんなの寝静まる深夜に突然、月夜のスマホが着信を告げる。

「……ん~」

 月夜は半分眠りながら手をワサワサと動かしてマクラの横で振動しているスマホを取ると――

「……はい? だれですか?」

『あっ! 月夜、月夜。おきてる?――でたからおきてのにきまってるか」

「……イブキ?」

 スマホから聞こえてきた声に寝ぼけながら答える。

「月夜なにねてんのさ」

「なにって……いま何時……? まだ暗いでしょ? そりゃ寝てるわよ」

「もうすぐインセキがチキュ~をかすめるんだよ! NASAは当たらないっていうケド、け~さんミスしてたらチョクゲキすんだよ!! おわりのはじまりだよ――」

 興奮ぎみにまくしたてるイブキの声を子守唄に月夜は再び微睡の中に身をゆだねた。


 そして、いつものバス停にて――


「イブキ」

「ん~?」

「今朝電話した?」

「おぼえてないんだ月夜!?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る