におい。

 いつものバス停にて――


「ん~……クンクン」

 イブキが目の前に垂れ下った月夜のポニテに鼻を寄せクンカクンカした!?

「きゃ!? ちょ――なに匂ってんのイブキ」

「え~。だって月夜いいニオイさせってんだもん、これはかがなきゃっておもちゃって」

 月夜は嗅がれた髪の束を押さえながら、

「そ、それは夏場だもん。汗臭いって思われないためにヘアフレグランスとか付けないと」

「へ~そんなコトしてんだ」

「うん。ウチそ~いうアロマとか匂い系のやつ結構好きで割といっぱい持ってんだよ」

 そいうとカバンの中から液体の入った小瓶を取り出す。

「そんなにいっぱいあんの?」

「パルファム、オーデパルファム、オードトワレ、オーデコロンそれぞれ効果時間が違うから――たとえば」

「あ~いいや。聞いてもわっかんないし」

 そういうとイブキはピトっと月夜にくっつき。

「こ~やって月夜の匂いでいやされるからメンド~なせつめいはフヨ~」

「い、いや……こ、これはこれでウチが恥ずかしい……かも……」

 顔を真っ赤にしてうつむき加減でそんな事をいう月夜だった。

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