うなぎゅ~

 いつものバス停にて――


「ねぇ、イブキ」

「なぁに~?」

 月夜は持っていたチラシを指しながら、

「今日帰りさ、食べていかない?」

「いいけど…………ギュードン?」

「んふっふっふっふっふっふ――28日からウナギ始まってんだよ~ウナギだよウナギ、ニュルニュル~」

「なんか今日の月夜ちょっと変!?」

「だってウナギだよ、ウナギ~」

「イブキさんはそこまで好きじゃないから……そういえば」

「ん?」

「ウナギって海のモン? 山のモン?」

「ゐっ!? た、確か海だった気がする……」

「ふ~ん」

「確か出世する」

「出世すんの!? うちのおとーさんだってしないのに!!」

「確かシラスウナギ→アナゴ→ウナギ→ウミウシって感じに出世していって、最後のウミウシを使ったのがウナギュウになれる!」

「そうなの!? 時間かかってんだ~」

「そうなんだよイブキ。だから味わって食べないとね~♪」


 始終、ハイテンションの月夜という珍しい日だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る