◇230



よっす、フローさんだよ!

雨降りでも元気いっぱい、フローさんだよ!

そんな、フローさん。いつものように適当に楽しんでいると、アイレインの雨に混じって現れたレッドキャップのボス! リーダー! 色男! よっ、色男!


なんでもこの色男はフローさんをブッkillしたいみたいなんだ。怖いよねぇー恐ろしいよねぇー花も恥じらう乙女をブッkillしたいとか、怖いよねぇ。

まぁフローさん的にも今はコレと言って愉しげな事もないし、お茶くらいならしてあげてもいいかなぁ......と思ったワケでして! ok、少し付き合ってやろう。と!

お触り禁止の接客ですたい!

こんな太客、普段じっくり接客するチャンスなんてないものでして.....正直フローさん、上がっておりますもす。


気分がよろしいので、フローさんのコレクションを少しだけ紹介しようと思います!



「ヒラヒラと回避ばかり、お前やる気あるのか?」



おっと、レッドキャップの色男パドロックが少し怒ってますね、おこですおこ。

でもそんな事気にせずヒラヒラと蝶のように舞い、攻撃を回避しましょう。この時の注意点は “可能な限り相手を挑発する回避” を行うという点です。もちろん無理するとギャース! 内臓まで引っ張り出されてソーセージにされてしまうので可能な限りで!


「女の子相手だよ? 痛くしちゃ めーよ? グヒヒヒ」


間合いを見て軽く会話をするもよす、指で誘うような挑発行動もよす、わざとらしくピエロらしく呆れる仕草もよす。選択肢はいつだって無限! 何を選び行動するかが大事なのです。


ではでは、フローさん自慢のコレクションを少し紹介しましょう! 今日は.....もうすぐコンプできそうな【シンシア コイン】をご紹介! 色男にも自慢しちゃお。


「見て見て、コレ」


「───コイン?」


12枚のコインを1枚ずつはめ込む専用のコインケース! タイタンが踏んでも壊れないスーパーカチカチケースだでい! 今このケースには11枚のコインが入っておりますもす。あと1枚で【シンシア コイン】が揃う、つまりコンプリートでごあす!


「その遺物武具オモチャと同ランクのコインだでい?」


誇らしげに、自慢げに、どうだ見たか羨ましいだろ、といわんばかりのフェイスパターンでビジッとコインケースを拝ませる。この時、むふふ と笑えば尚よす。レアモノをゲットした際、持っている際は全力全開で自慢しよう! 嫉妬で嫌われる事の方が多いけど、頑張ってもないのに嫉妬してくんなって話よ! レアモノ狙いで嫉妬マンより頑張ったからゲット出来た、そんなに欲しかったら誰よりも本気で狙えっつー話よ全く!


「同ランク......、シンシアか」


「正解~、まぁ まだコンプじゃないけどねん」



あと1枚集まったら、誰に自慢しようかな.....楽しみ楽しみ!



「さて───パドロッ君や。何枚イク?」





───全身を叩かれる、または圧し飛ばされる。こんなダメージを受けたのは初めだ。


「......ぅ、」


冷たい雨が全身を冷やすように降り落ち、溜まる。ルービッドはししから受けた攻撃で疑似スタン状態に陥る。脳は───意識はハッキリしているが身体はまるで言うことをきかない状態はルービッドを焦らせる。

しかし、しし、カイト、だっぷーは追撃や追い込みをかける事なく一定の距離からルービッドの動きへ警戒を高めていた。


ルービッドは指先をピクリと動かし、身体が回復し始めている事を確認するも立ち上がらない。警戒しているならば限界まで回復する事を選び、ハッキリしている脳で思考を走らせる。


ししが獅人族リオンである事は今理解した。物理攻撃の威力と速度も。そこに対しての対応策も用意しつつカイトとだっぷーにも気を回す。

自分が1で相手が多数の場合、ルービッドは負けなしとも言われているがイレギュラー、この場合はししが獅人族だった事がルービッドにとっては予想外だったが一度それを知れば次からは当たり前だが、予想外ではなくなる。


散らばった6本の剣を回収しつつ攻める一手を考えつつ、ルービッドは身体の回復を待っていると───水を踏み弾く音と足音が。


「あぁ~....リピナちゃんと、小さい竜さぁん.....むにゅ」


足音の主の名をししがクチにした瞬間、ルービッドは耳を疑った。


「みんな無事だったんだね、ピエロがここに出たって聞いて」


リピナの登場は充分予想出来た。ルービッドもリピナと遭遇する事は覚悟していた───が、いざ現実に起こると胸の奥が痛くなり逃げ出したい気持ちに包まれる。


ルービッドが今やろうとしている事は、地界を敵に回す事。ギルドの仲間を失い全て失った気持ちでいる自分と、まだリピナ達がいるのに、と思う自分に挟まれる自分。

そんな心境を知り、揺らして遊ぶフロー。危うい足場は小さな揺れめ簡単に崩れ、ルービッドは落ちた。


それでも、残る迷いは消えていなかった。


───本当にこのまま眼鏡の話に乗っていいのか? でも、今現在私は冒険者相手にこのザマ。魔女を2人殺すとなればやはり眼鏡が力は必要なのでは?


「俺達はなんとか大丈夫。ピエロはししちゃんが」


カイトが指差す先をリピナは追った。そこに倒れていた人影はゆっくり立ち上がり、リピナを見え困るように笑った。



「ルビー.......」







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