風ガ吹イタラ サヨウナラ

嶋田覚蔵

第1話 

 時間は限られている。ならばいっそ、まるっきり状況設定なしで書こうと思う。

少々乱暴な気もするが、別れは誰にでも訪れる。それなら細かい事情は読む人が、自分が味わった悲しみや、これから訪れるだろう惜別を、自由に当てはめてくれればいいのだから。



 ありがとう。今日も笑顔。ありがとう。「人はひとりでは生きていけない」のだから、支えてくれるみなさんの笑顔が、心に染みます。ありがとう。

 軽いコトバに意味はない。何も伝える力はない。だから「行い」だけに心を込めて、私もずっと笑顔でいようと思います。

 思い返せば、反省することばかり。なぜもっと早く、こんな気持ちにならなかったのか。

「感謝する心が大切だ」

 そんなこと知っていると思い込んでいた自分が心底、恥ずかしい。

みなさんと別れる間際になって、意味の深さを知りました。

「失うことになってから、その大切さを知る」

 これは本当のことですね。

 

 ゴメンナサイ。いつも仏頂面。すみません。

誰もが自分自身のために生きているのだから、私の気持ちなどに構っていられない。

私自身も私のことしか考えていないのに、譲歩ばかり求めていました。

 こんなに単純なこと、別れる間際になって気が付きました。遅過ぎますよね。

ゴメンナサイ。


 でも、いろいろ悟って今はとても清々しい気持ちです。

穏やかな心でいられます。

「仏に成る」っていうのはこういうことなのでしょうか。

 ありがとう。

 こんな気持ちそのままで、

時が来たら、雨が降ったら、風ガ吹イタラ サヨウナラ。

 あとはみなさんの心の片隅で、記憶となって残るだけ。

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風ガ吹イタラ サヨウナラ 嶋田覚蔵 @pukutarou

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