第6話 So Long ! さようなら ! 

6.


=== 間宮遥 & 間宮修造 ===




不倫騒動から10日目、夫の様子がどことなくおかしいことに

気付いた。携帯を覗いてはため息ばかりついている。

私にはピンとくるものがあった。

 


夫の入浴中に携帯のメールを見ると、そこにはもうメールは

しないと、取り決めしたはずのあの山田里子という女からの

朝も夜も熱烈Loveコールの綴られたメールが届いてた。



修造さんは騙せても私を騙すことは出来ないわよ。恐らく自分

から旦那に別れを切り出したのではなく、旦那にバレてお払

い箱になったに違いない。これを読んで悲しいため息を吐い

ているおめでたい男は、あの女の云い分を全て信じきっ

ているのだろう。




はて、夫は私に何て云ってくるだろう。ここはもう腹を括ら

ないといけないのかもしれない。こんなことになるまでは、口

にこそ出してはいないが私も夫を大切にしてきたつもりだ。




夫にそれが通じていれば不倫女のこんな付け焼刃の言葉に

翻弄されることもないだろうが、通じていなければ・・・。




そう考えれば考える程、女の勘が夫はきっと私達を捨てて

でも、あなたしかいないの、なぁーんて平気で云えるあの

不倫女の元へ嬉々として馳せ参じる様な気がする。






果たして我が夫はその数日後、私の予想通りのことを云って

来た。






「遥すまない、事情が変わったンだ。山田さんは僕とのことを

本気で考えていて、ご主人とは別れてしまったらしい。


こうなったのは僕にも責任がある。君は仕事も持っているし

僕がいなくても生きて行けるだろう?すごくしっかりした人

だから子供達のことだって安心して任せられる。



山田さんは僕がいないと潰れてしまうだろう。だから遥、別れて

ほしい。離婚届に署名してください、お願します。」



そう云って夫は頭を垂れた。







やっぱりね、こういう展開になったか。









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る