第2話 So Long ! さようなら !

2.



私は結婚後も正社員で働き続けてきた。子供が産まれた後も

働き続けるという事はかなり大変だったけれど、私のほうの

両親が目と鼻の先、近距離で暮らしていた為、助けてもらい

ながら続けて来られた。




夫のほうの両親は義父が3年前にそして義母が2ヶ月前に続け

て他界してもうこの世にいない。



唯一の肉親である義姉はシングルマザーだ。




義姉の元夫は、ギャンブル等で借金を繰り返した挙句、

隠れて不倫するわで、暴言吐いて義姉に離婚しろと責め続け

た。




そんな元夫の言動に心身ともにボロボロになった義姉は

10年前、ひとり息子を連れて離婚している。



元夫が離婚を迫った本当の理由、不倫をしていた事を

義姉が知ったのは、離婚してから数ヵ月後だったのだとか。




義父亡き後、私達が金銭的に支えてきた。私から1万円

夫から2万円、僅かだけど毎月3万円義姉の口座に一度も

欠かさず振り込んで来た。



私が嫁いで来た時からやさしく接してくれた義姉なので

私に不服はない。




夫の不倫を確信した時、私の夫への愛情は無くなった。


あっさりしたものだ。性分だから仕方がない。




世の中夫の不倫で苦しんでいる女性が多い中、異質かも

しれない。だが子供がいるので少し話し合いというものは

しておくべきかと、安直な結論は出さずにおいた。



でまぁ、聞くだけ聞くかと、夫に尋ねてみることにした。





『ねぇ、不倫してるンだよね!』



「ナ、ナニ? 何云ってんの・・冗談?」




『隠さなくていいしぃ、怒ってないから。ただ知った以上は

あなたの本心を知っておきたいのよぉ』





私からの言葉に夫が突然頭を垂れ、椅子に座ったままでは

あるけれど、土下座するようにテーブルに額を擦りつけて

搾り出すような声で云った。




「、ごめん・・ごめん・・ただの出来心

気持ちは遥と子供達にある、離婚だけは避けたい。


相手とは別れるから許してほしい。今までよりも

いい夫いい父親になれるよう頑張るから、だから

今度だけは許してくれないか」



夫から心よりのお詫びを聞いた。




私はてっきり別れて欲しいと懇願されるものと思っていた

ので、拍子抜けした。




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