狂気の夏〜僕の躁鬱病体験記・苦しさが伝わらない〜

よろしくま・ぺこり

序章 狂気の夏

 土曜日の夜の街道を、僕は大きな木の枝を背負って全速力で走っていた。大きな二車線の道路を走っていたが、たまたま自動車の姿はなかった。

 僕は腹の底からとてつもない大声を出す。

「ウォー」

 それが両側の建物に響いて轟く。建物はかつての働き場所だ。

 反射して響く、大音声。

 俺は神だ。そう思った。

 清々しい、快適な気分である。


 その時が、躁病の最高潮だった。2012年の夏のことである。その年の夏は格別に暑かった。夏の暑さが僕を狂わしたのだと、今は思っている。秋が来るのが遅すぎた。

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