旅の終わりと

雨の上がった、夕暮れでした。

街を見下ろす丘の上に、黒い服を着た人々が集まっていました。

白のハンカチを手に手に、みんな涙を流していました。

どうやら、ある人の旅が終わったようです。


「お花を添えて、頂けませんか?」

私なんかが?

「良いのです。旅の好きな人でしたから。気まぐれに、どうか」

そう言って、そのおばあさんは怖い顔で泣いていました。



もし私の旅が終わった時、泣いてくれる人は居るのでしょうか。

もし居るのなら、泣かないで欲しいです。

最後に見るのは、笑顔がいいから。



そんなことを思いつつ、私の旅は続きます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る