ヒッチハイク

その昔、空は「彼ら」のものだった。

「彼ら」は大きな翼を持ち、人と話せる程の知能があった。

「彼ら」は気のいい奴らだったので、時々、人々をその背に乗せて飛んでくれた。

人と「彼ら」の間には確かな友情があった。

だが。

人はやがて機械を生み出し、空を飛べる乗り物を創りだした。

最早、空は「彼ら」のものではなく。

むしろ風を感じながらゆるりと飛ぶ「彼ら」を人々は鬱陶しく思ってしまった。

武器を持たない「彼ら」を追い払うのは簡単だった。

「彼ら」は北の山へと逃げていった。

「彼ら」は泣き続けた。

「かつての友はどこへいったのだ」と。

それからしばらくして、人々の街を洪水が襲った。

それは、北の山から流れてきたものだった。


と、私を送ってくれる途中、その老人は話してくれました。

彼の竜が描かれている旧式の飛行機を。

私は忘れることは無いでしょう。

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