精霊魔術師の夜想曲

さざなみ

~プロローグ~ 始まり

今この場所は血の匂いがする戦場になっていた。

数年前まで、ここはピクニックの人気スポットだった。。

ただし、今は『クリーチャー』と呼ばれる謎の生命体が奇声をあげ、人間を喰らいつくしている。

しかし、そんな状況でも、人々は生きる希望を捨ててはいなかった。

その理由は精霊魔法師の援軍がもう少しで到着するからだ。

西暦2015年。突如として『クリーチャー』と呼ばれる生命体が侵攻をはじめ、人を喰らい始めた。

当初は核爆弾などの兵器を運用し、『クリーチャー』の撲滅を試みたが、足止め程度にしかならなかった。

そこで、各国は『クリーチャー』に対抗するために策を研究し始めた。

2820年ついにイギリスで、人智を超える力が発見される。その名を『精霊』

そして、その『精霊』と契約することで『精霊』の力を人間が使用することが可能になることが判明した。

『精霊』を使役し、まるで『魔法』のような力を使う。その人間を『精霊魔術師』と名付けた。

精霊魔法には属性がある。 炎 水 木 風 雷 だ。


「【イグニス】」


遠くのほうから下級魔法の言葉が聞こえ、火の球が飛んでくる。

瞬間、逃げまどっていた人々が歓声を上げた。

遠くから歩いてくるのはローブを着た人々、そしてその隣には、少し浮いた可愛げのある少女たち。

この少女たちこそが精霊。そして、その力を借りて、『クリーチャー』を撲滅する『精霊魔術師』だ。

しかし、下級魔法ではやはり、足止めレベルでしかない。

が、それでも『精霊魔術師』の信頼は圧倒的なものだった。


「【クリムゾン】」


足止めを確認した一人の男が上位魔法を詠唱する。刹那、下級魔法で足止めされていた『クリーチャー』が焼き死んだ。いや、正確には消し炭になった。

叫び声すら上げられずに...だ。その圧倒的な強さの前に、全員が唖然とし、そして、この『クリーチャー』と人類の戦いは人類の勝利で終わると確信した。

しかし、そんな確信は一年後、すべて崩れ去る羽目になる。『クリーチャー』の大型種出現だ。

年に一度出現する大型種は、『精霊魔術師』が全戦力を上げても、倒すことは出来なかった。どんな魔法も効果が薄かったのだ。

大型種との戦いは惨敗だった。大型種相手に倒す術をなくした人々は、ただただ無様に逃げまどい。逃げ遅れた人々は命を落とす。

そんな生き方を強いられた人類は、滅亡までを覚悟した。しかし、一年後。大型種が忽然と姿を消したのだ。

そんな状況から、全国家はこう考えた。「大型種は力を蓄え、一気に人を滅亡まで追いやるだろう」と。だが、今、大型種に対抗できる人間はいない。

しかし、それは今の話だ。数少ない『精霊魔法師』に高度な戦闘技術を磨かせたら、『精霊魔術師』を一流なまでに育て上げたら、大型種すらも倒せるんじゃないだろうか。

国家は迅速に対応を急いだ。いつ、また大型種が攻めてくるか分からないからだ。一先ず今現在現役で働いている『精霊魔術師』に『クリーチャー』討伐を依頼。次に、安全だと思われている地区に一つの学校を立てた。

その学校の名前を『精霊魔法学校』。行く行くは『クリーチャー』との戦いに巻き込まれる悲しき運命をたどるものたちが集まる学校。

しかし、その学校で、少年少女は『クリーチャー』との戦いに備え、沢山の知識を集めた。

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