欲深き、クヨクヨ三十路のぬるま湯半身浴。
ポレ田中
意識高い系=キャパ狭い系
「あー、ツラいわー。」
「今日締切だわー。」
「4時間しか寝てないわー。」
社畜自慢のように聞こえるかもしれないが、私は限りなくニートに近いフリーライターである。社畜ではないし、社畜には戻りたくない(遠い目)。
なぜ限りなくニートに近いなんて自称しているのか。それは、以前何かのテレビ番組で放送されていた特集「ニートの1日に密着」に出演していたニートと、生活リズムがそっくりだからである。とはいえ私はニートではなく、ニートに近いフリーライターだ。つまり、文筆業を営んでいる者である。太宰治や夏目漱石とおな……いや、やめておこう。
昨日は納品の締切で、ヒーヒー言いながら仕事をしていた。
ヒーヒー言いながらといっても、本当にヒーヒーと音声を出力していたわけではない。ツイッターに向かって、ヒーヒーヒーヒーとつぶやいていたのである。「つぶやいている暇があるなら早く文章を完成させて即刻納品しろ」なんて言われそうではあるが、ツイートしながらでないと息が詰まって死ぬ。逝く。そんな気がする。
月に3〜4回締切があるのだが、その期日が迫る度に私は「やるっきゃナイチンゲール!」「PDCAサイクル!」「期日にコミット!」「キャッチアップ!」とかなんとか言いだして、意識高い系に変身する。ちなみに締切が近くない日は「まったり〜」「ポレポレ〜」「丁寧な暮らし〜」と言いながらのんびりしている。
昨日は無事に納品できた。いや、毎度期日には間に合わせて納品しているから、"昨日は"ではなく"昨日も"が正解だ。
夜、風呂に入りながら考えた。自分が意識高い系になっているときは、ツラい中で頑張っている己に対して酔っている感じがする。頑張っている自分を認めてほしいから意識高い発言をして他人にアピールしてしまっている(ツイッターで)。
意識高い系に変身しているときは、ドーパミンがドバドバ放出している感じがして気持ちが良い。しかし、こういう状態を夫に見せつけると非常に嫌がられる。
「期日に納めるとか、仕事をするとか、そういう当たり前のことをやってるだけなのに、それを、ほら見て!やってるでしょ!すごいでしょ!みたいに見せつけてくる感じが心底気持ち悪い。そういうの、嫌い。しかもそれを褒めてほしい?察してほしい?は?」
……とまでは言われていないが、それに近いことを昔言われたことがある。そのときは「えー。頑張ってるのにそんなこと言わないでよー。」と思ったが、今になってその気持ち悪さに気づきつつある。
意識高い系になっているときの自分は、120%越えの力を出して仕事をしてしまっている。本来、仕事なんかに120%もの力を出すなんて身体を壊しかねないから、自分の能力を上げるか仕事量を減らしたほうがいいはずだ。しかし、1日4時間程度しか仕事をしていない私が仕事を減らすというのはおかしい。健康体だし、子育てに追われているわけでもない。明らかにキャパシティーが狭い。レベルが低い。経験値が足りていない。
もう私は意識高い系の世界から、他界せざるを得ないようだ。キャパの狭さをアピールするのはダサすぎる。
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