第186話 ロボット物流の誤出荷率六千万個に六個

自動倉庫をバックにして青色のアーム型ロボットが16台、横一直線にずらりと並ぶ。ロボットは「シュッ、シュッ、プシュー」といった空気音を立てながら、自動倉庫から送られてきたトレーに“手”を突っ込み、指示された個数を正確かつ機敏な動きで取り出していく─。


 まるで工場の生産ラインを見ているようだが、実は、医薬品卸売業の東邦薬品が2014年1月、埼玉県久喜市に開設した物流センター「TBC(東邦薬品物流センター)埼玉」の光景だ。合計21台のロボットが、全12工程のうち4工程をこなす。このほか3工程を自動化しているため、手作業は5工程まで減った。


 同じ規模の「TBC東京」と比較すると作業員は半減、単純計算で生産性は2倍。ロボット化や自動化のコストは、人件費削減などにより3年ほどで回収できる見込みである。


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ロボット化で生産性が2倍に向上

東邦薬品がロボット化を進めたTBC(東邦薬品物流センター)埼玉は、ロボット化されていない既存の拠点より生産性を2倍に向上させた。数字は2015年度の実績。2015年度の下期だけで見ると、TBC埼玉の1人当たり生産性は2億2000万円を達成している


作業員を減らしながら生産性を高める。これこそが、東邦薬品がロボット化を進めた最大の目的だ。背景にあるのは人手不足。「地方では重い荷物を扱える若い人材が集まらない。

今後さらに雇いづらくなるのは間違いない。人手ゼロを目指してロボット化に取り組んでいる」と、東邦ホールディングスの森久保光男常務取締役開発本部長は話す。


2年間で出荷ミスは6個だけ


 もう1つ、東邦薬品がロボット化を進めた目的がある。出荷ミスの撲滅だ。医薬品という人命に関わる商品を扱ううえで、出荷ミスはあってはならないこと。だが手作業では誤ピッキングなどのミスを防ぎ切れない。人手不足で作業員1人当たりの負荷が高まると、ますますミスが起こりやすくなることが予想される。


 そこで、作業工程の各所でセンサーを使った自動検品の仕組みも構築した。ロボットがピッキングした商品の重量をセンサーで検知し、出荷指示データと一致しているかを判断する。目標として掲げる出荷精度は99.99999%(セブンナイン)。非常に高い数値目標だが、今のところクリアしている。


TBC埼玉では、2014年4月~2016年3月の2年間で合計6856万4292個の商品を出荷した。このうち誤出荷はわずか6個。出荷精度は99.999991%で、セブンナインを達成した。誤出荷した商品は、バーコードで管理されていない薬袋、尿カップなどの消耗品や、仕入れ時点で既に内容物が間違っていた商品だ。


 ピッキングミスしないとはいえ、ロボットは高額の投資。森久保常務はロボット1台の導入コストを、「5年間真面目に働いてくれれば時給換算で950円ほどで済む。今、首都圏の物流センターでは時給1000円以下でパートタイムの社員を雇うのは不可能」と説明する。


 ただし、人間のように雇ってすぐ仕事を始められるわけではない。ロボットが作業しやすい環境を整えてあげる必要があるからだ。



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以上。






ロボット物流拠点が日本に作られ、二年間運用したところ、六千万個を出荷して誤出荷は六個だったといいます。画期的な成果です。



ぼくはもとは物流企業の営業でしたが、この誤出荷率なら導入決断まちがいなしです。



ただ、五年間ロボットに働いてもらわないと採算はとれないようで、まだ大型の物流拠点でしか機能しないようです。



ですが、第四次産業革命ののろしといってもいい成果ですね。



倉庫作業員は、コミュニケーションの苦手な単純作業員の受け皿となっていたということもあり、この仕事がなくなると雇用の受け皿はどうなるのかという問題がありますが、ベーシックインカムなどという安易な考えはまだ早いです。十五年は早いといえるでしょう。



まだ、賃金支払い制でなんとかしなければなりません。それには、生活保護でまかなうより、六時間労働や機械番の仕事を増やすという意見をぼくは出しています。



物流の営業が何やってるかといえば、誤出荷のトラブル処理をしているのであり、製造業の企業の総合職も、物流管理はそういうことをしていると思います。誤出荷が減れば、メーカーの総合職の仕事も減るわけです。



どんどん推進していってほしいものです。



なお、この報道の関係で、現在の物流現場ではパレタイザー、デパレタイザーという積み込み機械が導入されていると聞きました。小口の出荷は手積みでしょうけど、進歩しているようです。




自動化のリスクがある10の意外な専門職―フォーブス

https://at-jinji.jp/blog/2947/



追記。


一方、物流現場のラインには様々なメーカーの様々な形態の商品が流れる。TBC埼玉では、約300社の製薬会社から2万8000品目を仕入れている。それぞれの商品の違いをロボットが正確に識別できなければピッキングできない。同じ商品でも、たわみや膨らみが生じてサイズが変わることもある。「あいまいな条件下で間違いなく作業させる難しさがあった」と森久保常務は振り返る。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/atclact/active/16/121500147/121500001/?ST=act-enterprise&P=2


以上。



28000品目を6500万個出荷して、誤出荷率が0.00001だったというのですから、本当に素晴らしい。ぜひ、全国に普及するべきです。



追追記。



物流改革が起きるといいですね。医薬品では導入の動きがあります。医薬品業界の市場規模は7兆円。

日本全部をロボット物流にするにはちょっとまだ産業用ロボット技術者が足りないか?


メディセオの新物流拠点「埼玉ALC」、医薬品出庫の自動化で生産性5倍

http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/090100053/020400236/?rt=nocnt


有事も医薬品を安定供給 福岡の「アトル」物流拠点稼働へ 熊本

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170317-00000002-san-l43




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