第185話 漢字「愛」についてのひとつの仮説

漢字「愛」がどのように誕生したのか軽く説明します。

2ちゃんねる嫌儲板の儒教スレに現れた名無しさんの解説を元にしたものですが、名無しさんがこれはまだあいまいな仮説で発表するほどではないというので、ぼくが丸パクリして記事にします。


まず、漢字「愛」はこの画像のように変遷してきました。

http://i.imgur.com/aN9CtHi.jpg


金文(殷周時代の金属に書かれた文字)から、

篆文(てんぶん。秦の漢字統一以前の文字)から、

隷書を経て、

楷書(南北朝時代を起源に唐の太宗の頃定まった書字体。基本的漢字)、

行書(楷書と草書の間。王羲之の「蘭亭序」などが書かれた書体)、

草書(漢に興って草書あり。くずした字体)、

繁体文字(清代の康煕字典体など。いわゆる旧字体)、

簡体文字(現代中国の標準文字? 日本の標準文字)へと変わっていった様子が写っています。

金文に書かれた「愛」の漢字は、数十通りあり、安易に特定するのは困難としながらも、


「旡」むせぶ+「心」こころ+「夊」あしで、愛の漢字になっていると思われる。


金文の愛の字が何か二つの甲骨文字からなっているようだが、あまりはっきりとはわからない。


ということで、「むせぶ心」が愛だったんですねえ。

いやあ、漢字「愛」の起源がわかって本当にうれしいです。

誰か詳しく調べてプラトン「饗宴」みたいな著書を書いてほしいです。

なお、これは漢字「愛」の成立過程であって、「愛」という概念の中国での成立過程ではありません。

ただし、「愛」という漢字は論語に出てきて、性愛ではなく慈愛を示すことはわかっています。


追記。



この説を教えてくれた名無しさんから返信がありましたので、返信をそのまま載せておきます。






■名無しさんの返信



愛のブログ、読んだよ~ まぁ全文訂正したいくらいだけど・・・

一般向けにはこの程度でイイのかなってほっとくけど。

この問題に目を向けると、いずれたどり着くけど、旡から受に変わった

その瞬間こそが問題なんだよね。全然別漢字なのに。

つまり


1 膽が胆になったくらいの転換があったか、

2 旡心 説自体が読み間違いで元から別字。

愛は後世の新字で、 受 に 心 が入ったモノ。


ってなると思う。因みに2は証拠の文献を掴んでるワケじゃないが、

恐らく俺の永年の漢字カンから、多分こんな感じだろどうせと思ってる。

あと、受 ってのは、 ツ と 又 どっちも手。

ツが上からの手で 又が下からの手 のAA。この場面、愛っぽいでしょw?

そして心を受け渡すとなれば、ねw?


ていうか記憶今39か~ ひょっとしたらかなり若いのかと思ったけどオジサマで良かった。






以上。




殷周時代、儒教文献の漢字「愛」については定かではないが、

始皇帝の統一した隷書にははっきりと「愛」の概念がある。


っていうか、こんなあいまいな文献で儒教の五経とか読んでたのか。

マジかあ。


「論語」に「愛」という漢字が出てくるのに、ウィキが「仁」が愛だというのは、

現代語訳の論語の「愛」の単語ははっきりと「愛」であると断言できないってわけか。なるほどねえ。

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