第10話 レギュラー戦

その日は近いうちにある大会に向けてのレギュラー決めの日だった。


レギュラー決定戦に出れた一年はオレと、シゲル、ウィリアムズだった。


一回戦の相手は、二年のスマッシュ坂田とあたった。


「一年なんかに負けねぇからな。ちなみにオレの名はまさにテニスのために生まれてきたような男、スマッシュ坂田だ!」


スマッシュ坂田のサーブがのめりこむ!


オレは素早くラケットを引き、腰を落とし、バコーンと敵サイドに打ち返した。


スマッシュも負けじと鋭い返球!


その瞬間オレはネット付近に潜り込み、スパンとボレーを決めた。


スマッシュ坂田は悔しそうな目でオレを見ている。


それで流れにのり、オレはスマッシュ坂田に勝った。


二回戦は3年の先輩、スライス高田だった。


「スライスの鬼こと、オレ様スライス高田とどこまでやりあえるかな!?」


スライス高田は事ある毎に、いや全ての球をスライスで返してきた。


(と、取りにくいな……。この人の球は!)


オレは必死に拾う。


そして、なんとか激しいせめぎあいの末、オレは勝つことが出来た。


三回戦、つまり最後の相手は奴だった。


キングススーパーウィリアムズ!


ザワザワとテニス部じゃない奴とかも見に来てざわついている中、


オレはファーストサーブを打ち、試合が幕を開けた。


さすがウィリアムズ。


フットワークも良くて、キレのいいレシーブ!


2人のラケットが勢い良く球をはじき合う。


(ウィリアム、オレは楽しいぜ!)


コート脇で見ていた副キャプテンつばさウィングつばさはぽろっとこぼしたのを俺は地獄耳で拾っていた。


「こいつら、楽しみだな。また新しい時代が来るのかな?」


(あぁ、つばさ先輩!言われなくてもつくってみせますよ!)


グルグル回転した球がウィリアムの手前でバウンドした。


「ポテチの恨み、受けてみろぉー!」


「なにっ!?」


奴は球が既に頭上の当たりまで来ているにも関わらず、まだ打たない。


「これがオレの必殺技、名付けて普通の打点で打たずすごい高い所まで引き寄せて打つ、高打点ミラクルボンバーだぁぁぁぁあ!」


と長い説明を言い終えて、やつは打ち放ってきた。


(なんてスピードと威力!)


オレはやってくる球と共にふくバカみたいな強風に、邪魔をされつつも、なんとか球に当てることができた。


ヒョロヒョロと力なく飛ぶボール。


球はパスッとネットに当たる。


「はっ!オレの勝ちだ、ヒラメ。」


ところがギリギリの所でウィリアムのコートに入ってくれた。


「なんだとっ!」


ゲームセットという審判の声。


オレはこうしてあついレギュラー戦を制したのだった。

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