おしまいに
ここまでお読みいただきありがとうございます。
いかがでしたでしょうか?
拙い超訳でも、少しはクスっと笑っていただけましたでしょうか?
わずかなりともお心を傾けていただけたでしょうか?
かなり砕けた表現で原作のイメージを変えてしまったかもしれません。
子供向けの歴史辞典で『超ビジュアル! 日本の歴史人物大辞典』(西東社)という本があります。登場する歴史上の人物の絵を10数人の漫画家さんやイラストレーターさんが担当されているのです。少女漫画のような綺麗な絵の作家さんから、いかにも男子が好みそうな劇画タッチの作家さんまでそれはそれは個性豊かな肖像画です。
これが素晴らしい! もう現存している肖像画や写真なんてお構いなしです。ひたすらキレイ。とにかくとにかくカッコいい。
私イチオシのイケメンは坂本龍馬でした。
紫式部さまなんて、ラベンダー色の髪の毛にダリアの花を挿していらっしゃいます。綺麗。綺麗。
藤原道長が短髪で細身のイケメンだったことには、たっぷり3分間ほど衝撃(笑撃?)を受けました。
素晴らしいとっかかりです。
好きな絵からその人の人となりを学んでいくのですから。
この辞典と並ぶのは大それたことですが、ほんの少しでも、ほんとに少しでも百人一首の入り口の扉を開けるお手伝いができたら、と思いました。
扉が重厚なら、一緒に押し開けましょう。
扉が高いところにあるのなら、ハシゴとして使ってください。
これは、ほんの入り口です。
興味を持たれた方はぜひ専門書をお手にとってみてください。
最後に読んでくださったすべての皆さまに感謝とともに月のお話を添えさせてください。
それからおこがましくも……、
百の和歌を紡ぎだしてくださった百人の麗しい歌人の方々へ
麗しい歌人の方々の人生を彩った方々へ
後世に残そうと、六百年もの期間の膨大な和歌の海から珠玉の雫をすくい上げて下さった方々へ
今日にいたるまでその雫を守り、首飾りにして、大切にして守ってくださった方々へ
いち百人一首ファンとして表しうるすべての感謝をこめて。
月が綺麗ですね。
かつて、かの大文豪夏目漱石が教え子から
「I love you」はどう訳せばいいかと聞かれたときの答えがこれです。
教え子は
「我、君を愛す」と訳したそうですが、漱石は
日本人はそんなことは言わない。月が綺麗ですね、くらいにしておきなさいと言ったそうです。
この逸話から「月が綺麗ですね」は遠回しの愛の告白として使われることになったそうです。
また、二葉亭四迷がロシア文学で、女性が抱き寄せられたときに
「I am yours(あなたに委ねます)」と囁いたシーンを、
「死んでもいいわ」と訳しました。
「月が綺麗ですね」(I love you.)
「死んでもいいわ」(I am yours.)
これが王道の愛の告白だそうです。かなり文学の香りがしますね。お互いが漱石と四迷のエピソードを知らないと訳わからなくなっちゃう。
「月が綺麗だよね」
「あの月を見れば離れていても繋がっていられるよね」
「どこからでも月は見えるからね」
文豪のエピソードを知らなくても、そんな会話を交わしたら、それからの月がふたりのよりどころになる。
愛しい人を待ち続けながら眺めていた月
短い逢瀬の終わりを告げる月
美しい日本の四季を照らし続けた月
遠い故郷に想いを馳せた月
夜の神々しい灯りを届けた月
見上げる皆の想いを受け止めてきた月
死ぬなら幸せな今がいいと詠った女性
あなたに逢えるなら死んでもいいと詠んだ男性
遠い昔から、数え切れない I love you を見つめてきた月
どれだけの人達があの月のもとで愛していると囁いたのだろう
どれだけの人達があの月を見上げて涙したのだろう
百人一首で詠まれた月の歌、十二首
百人一首で詠まれた恋の歌、四十七首
百人一首で詠まれた涙の歌、七首
百人一首で詠まれた季節の歌、二十九首
百人一首で詠まれた人生の歌、二十首
百人一首で詠まれた離別の歌、四首
かの時代の人々のさまざまな想いを綴った歌、百首
百の景色、百の想い
悠久の時を超えていつまでも
その景色も、その想いも
人々の心にいつまでも
いつまでも読み、歌われ、語られ続けるのだろう
月とともに
―― I love you 想いを交わし 願うこと 希望叶える 下弦の月に ――
―― いつまでも そうであれと 見守るは みなの幸せ
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