Scene13 世界一有名な闇
ノルウェー・オスロ
背景は赤い。
赤といっても少し濁った赤系の色だ。
赤銅色
赤朽葉色
柿渋色
キャンバスの上半分を左から右へとゆがんだ曲線を描く。
うっすら青系の線も混じるが全体としてゆがんだ赤い空。
空の下は藍の水面。
陸地だろうか、砂色の箇所は。
暗い水。
淀んでいる水。
墨色
藍色
鉄紺色
手前から奥に斜めに橋の欄干。
右下からキャンバスの左に向かっている。
真ん中には口を縦に開けた人の顔
土気色の覇気のない顔色。
頬をくぼませ、両手は両耳にあてている。
恐らく世界で一番有名な怯えたその顔。
エドヴァルド・ムンク作 『叫び』
オスロ国立美術館に所蔵されている。
驚いたことに無料で拝観できる。
想像していたよりは小さいサイズの絵である。
それでも教科書で見たそれよりはるかに大きい本物は、
美術にさほど傾倒していない私を後ずさりさせるに十分な迫力がある。
ムンクの日記の抜粋である。
フィヨルドの景色に太陽が沈む。
―― 私はそこに立ち尽くしたまま不安に震え、戦っていた。 ――
―― そして私は、自然を貫く果てしない叫びを聴いた。 ――
ムンクが感じた幻覚を絵にしたようである。
ムンクは「叫んでいた」のではなく、「叫びを聴いた」のだ。
【描写した場所】
ノルウェー・オスロ・オスロ国立美術館 エドヴァルド・ムンク『叫び』
※参考文献 Wikipedia
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