Scene7 空に舞うレインボーカラーの……

 ポルトガル・アゲダ


 アゲダというポルトガルの都市で初夏に芸術祭が行われる。


 夏の陽ざしの強い地域だそうだ。

 芸術祭の期間中、国の内外から訪れる観光客のために会場となるストリートに日陰を作ろうということになった。

 通常ならアーケードのように建物と建物のあいだをシート等で覆い、日光を遮り、空を切り離すだろう。


 この芸術祭はそうではなく、傘を使った。何百、何千もの傘をワイヤーで吊って空中に浮かせたのだ。

 アンブレラ・スカイ・プロジェクトというそうだ。


 ホワイト、レモンイエロー、ラベンダー、ローズピンク、ベビーブルー、サファイアブルー……。

 さほど広くない道幅の頭上を、いずれも無地の鮮やかな色の傘が、文字通り花を咲かせる。


 ストリートから上を見上げる。

 傘のあいまから覗く抜けるような青空


 空に浮かぶカラフルドット。

 ふんわりと舞うドレスのような傘。


 本来、スモーキーな空の雨雲の下で使う傘がこんなにもスカイブルーに映えるとは。

 私が見ている写真集には

「世界にも類を見ないハッピーな絶景」

 と書いてある。


 自然の生み出す絶景ももちろん素晴らしいが、人間が作り出す絶景もまた素晴らしい。人をハッピーに、そしてスマイルにさせてくれる絶景もあるのだ。



 空からこのストリートを見下ろしたら?

 きっと虹が嫉妬する。



【描写した場所】

 ポルトガル・アゲダ・アンブレラスカイプロジェクト


 ※参考文献

 365日 世界一周 絶景の旅   いろは出版

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