くらぼんが、来る!

銀鮭

カクヨムは場違い? 

 

 多分、小学校の4、5年生の頃だったろうか。

 いつものように路上で遊んでいた僕たちのところへ、近所に住む上級生がやってきて野球に参加しろと言う。


「野球ぐらいなら……」

 と簡単に請け負ったのだが……これが悲劇の始まりであることには、だれも気がつかなかった。


 そもそも僕たちにとって野球というのは草野球レベル、いや、ソフトボールか軟球を使っての三角ベースだった。だから相手も、同じような少年たちだと思っていたのだ──。


 そして当日、僕たちは、それぞれの服装で町内の一角に集合した。


 それぞれの服装といっても、一応、学校の体育で着る白のトレパン、トレシャツ姿だった。帽子は阪神タイガースだったり読売ジャイアンツだったり、ひいきチームの野球帽をかぶっていた。


 野球の試合は、近くの原っぱか学校の校庭だと思っていた僕たちは、駅へ向かって歩き出したことに動揺しだした。


「え! どこ行くの?」

「山本や」


 ふ~ん、山本にある原っぱか……くらいに考えていた。 


 ところが着いてみると、原っぱなんかじゃなく、ちゃんとした球場だったのだ。


 もう、このくらいでみんなの足が浮つき出した。

 何か、とんでもないことにまき込まれているのではないのか……。


 その球場というのは、以前はプロの球団が使用した山本球場だった。

 今のオリックス・バッフャローズ、いや近鉄バッフャローズといった方が馴染みがある。その前身である近鉄パールズが練習用として使用していた球場だ。


 両翼は90メートル。センターは110メートル。

 内野グランドは踏んだこともない心地よい黒い砂土だった。


 そのグランドと観客席を見て、ことの重大さに気づかされた。

 

 しかし、辱しめを受けるのはこれからだった。

 相手チームが現れたのだ。

 

 もう、逃げて帰ろうと思った。

 タイガースの野球帽などかぶっているふざけた者はいなかった。

 全員、足の先から頭のてっぺんまで同じものを身につけている。

 これこそ、ユニホーム! 

 一糸乱れぬ行進の足下は、な、なんと! スパイクである。


 一方、トレパン、トレシャツ姿の我がチームの足下は、月星の運動靴だった。今風に言えばムーンスターのスニーカー……。


 相手チームの見下した視線は痛いほど感じた。

 早く負けて帰りたかったが、そのためには守備でアウトをとらなければ話にならない。なぜなら、我がチームの攻撃はアッというまに終わってしまうが、相手チームの攻撃は容赦なかった。

 なんとか7回までくれば、コールド負けということでお開きになるのだが……。


 試合結果の記憶はまったくない。

 多分コールド負けしたのだろう。こちらはその前に、もう気力負けしていたのだから……。


 今思うのだけれど、相手チームはリトルリーグの選手だったのではないだろうか?


 その時代から十数年後……あのあたりのリトルリーグからは桑田、清原が出たはずだ──。


                               <了>

 


 ──上記の話は、わたしの子供の頃の思い出だが、まったく場違いだったが懐かしく思い出す。その場違いな気持ちが、今現在、カクヨムに参加させてもらっていることで感じている。

 それは、参加者との単なるジェネレーションギャップだけではなく、作品の性質によるギャップもあるのかもしれない。


 であれば、他所へ行けばよいということになるのだが、最初、このサイトを利用させてもらったのは、某ブログで載せていた『お話』を知人に見てもらうために、利用させてもらったのだ。

 もちろん、ブログを見てもらえば済む話だが、ブログには貧しい私生活のことなども書いてあり、作品だけを見てもらえる場所として、ちょうどよかったのだ。


 当初の目的通り、知人に読んでもらえたかどうかはわからないが、もう一つ、カクヨムとわたしのつながりとして重要なことは、わたしはカドカワの株主であるということだろうか。


 2014年にkadokawaどドワンゴが統合されて以降、右肩下がりのカドカワ。2日前の26日には、18年3月期利益の大幅な下方修正も発表され、株価も現在1132円(2018.4.27)である。


 原因は、ドワンゴ側にあると巷では言われている。ドワンゴはカドカワの子泣き爺と化し、統合による支那爺効果はなかった。


 一昨年だったか、川上さんがジブリの宮崎さんに怒られた。


 新しい技術を宮崎さんに見てもらったのだが、その映像が受け入れられなかった。人が頭を足のように動かして移動するグロテスクなものであり、川上さんは、その動きをゲームのゾンビに応用できるとか、技術的な立場で説明をしていたが、宮崎さんは障がい者の立場でとらえていた。


 ばかりか「生命に対する侮辱」とまで言われてしまった。


 NHKは、事前に放送の許可を確認したらしいが、川上さんは承知したらしい。その気持ちは、わからないわけではない。弱点や醜態を隠さず見せる事は勇気がいる。その潔さは、素晴らしいと思う。が、しかし、川上さんは一企業の代表者であるということを忘れてはいけない。自分の恰好ばかりではなく、社員や株主のことも考えて意見、行動しなければならない。


 とりあえずは、今の株価を3倍にして、早くわたしを株主から解放してくれ~!


 それまでは、場違いであってもカクヨムにはかかわっていくつもりである。



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