竜騎手ドラゴンドライバー
江山彰
第1章「スタート・ユア・ウィング」
第1話 序章
スタート・ユア・ウィング
この世界にはドラゴンが生息している。
この世界のドラゴンには翼は生えていない。
この世界の人々はドラゴンと共存しており、生きていく上での生活のパートナーとして存在している。
人とドラゴンは共に空を飛ぶ夢を見た。
人は魔法と科学を融合させ人工の翼を作りだし、ドラゴンは大空を翔る力を得た。
時は流れ、ドラゴンが空を飛ぶようになってから数十年、速さを競うレースがおこなわれるようになり、世界でもっとも白熱する競技へと昇華していた。
そしてレースの規模が大きくなるにつれ様々な職業が誕生する。
ウィングワークマン――ドラゴンレース用の翼を作る職人。
ドラゴンオーナー――牧場を経営して生まれでるドラゴンを育てる牧場主。
ドラゴンドライバー――ドラゴンに騎乗し共に空を翔る騎手。
レースに参加する人とドラゴンは勝利と栄光を掴むため、切磋琢磨し鎬を削りゴールのアーチを目指す。
大陸で一番東の国、ドラゴダード王国。
海と山と草原に囲まれた豊かな国は様々な種類のドラゴンが人々の生活に溶け込んでおり、大陸内でもっとも盛んにドラゴンレースがおこなわれている。
レースの種類も多様に催され、その中でも国民が一番熱狂しているレースは王城のお膝元で年に数回しか開かれない『ドラゴン1グランプリ』通称D1と呼ばれる大レース。
ルールは簡単。王城前の特設コースを「よーい、ドン」でスタートして誰が一番早くゴールするかを競うとういシンプルなもの。
だがシンプルだからこそわかりやすく面白い。
シンプルだからこそ、実力がモノをいうレース。
D1は国内だけにとどまらず、周辺諸国までも熱狂させている。
十年前、D1レースの一つ『ドラゴンダービー』を一頭の白いドラゴンが眩い輝きを放ちながら他のドラゴンを引き離してゴールのアーチをくぐり勝利した。
その勇姿が、その輝く翼が、その白いドラゴン自身が、空を見上げる幼い少年少女たちの心に深く焼きつけられた。
しかし今のレース界に白いドラゴンは一頭も存在しない。
感染性血液病が発症したため隔離処分されてしまったのだ。
白いドラゴンのファンたちは悲しみの涙を流し、いつしか白いドラゴンは思い出話だけの存在になっていった。
だが、空を見上げていた少年少女たちが成長し、夢にむかって走り出したことで一つの物語が動きだす。
若い情熱を産土に幻の白が復活の時を迎える。
いま少年少女たちの夢を乗せ、一頭の白いドラゴンが翼を取り戻す。
さあ翼を広げよう。あの空に向かって――
スタート・ユア・ウィング
ドラゴンレースの開幕だ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます