『白い家』と「白いカフェ」
藤
第1話 出会いと再会
『白い家』と「白いカフェ」
藤
こんにちは、私は『白い家』と申します。
但し、周りの人たちがそう言っているだけで、本当の名は別にあり
ます。それはまた後ほどお伝えすることになるでしょう。
では、この『白い家』での様々な出来事をお話しいたします・・
・。あっ、その前に簡単ですが、この家のことをお話ししておきま
すね。
この『白い家』と「白いカフェ」は町の中心からやや北西に離れ
たところにあり、結構広い土地に建っております。経営は、オーナ
ーと呼ばれている人物で少し変わった方ですが『白い家』への思い
入れが非常に強く、様々な拘りをお持ちです。詳しくは物語の中で
ご紹介をして行きます。少し変わった方ですよ。
また、「白いカフェ」には従業員5名が働いておりますが、その
中の男性従業員1名がこの物語の主人公的な人物となります。人数
は時が流れる中で増減を繰り返すこととなります。ただ、みなさん
それぞれに個性があって誰が主人公でもおかしくありません。他に
犬や猫などの動物も居ますので結構にぎやかです。
そして、様々な出来事があるのですが、その都度みなさんをご紹
介いたします。お楽しみに。
『白い家』はその名の通り全体に白を基調色とした素材で造られ
ていますが、真っ白というわけではありません。白系の素材たちの
コラボレーションと言いますか、白を中心とした建築物と空間であ
り、エクステリアやインテリアなども白を多く用いています。無論、
他の色もたくさん使っていますので物語の中でご紹介ができるかと
思います。建物は基本的には数寄屋建築風の「和」となりますが、
様々な要素がコラボレーションしていますので大変面白いかと思い
ます。
この家を造るのにみんな大変苦労しました。本当にいろんな
ことがありましたね。いろいろね。では、後ほど・・・・・。
それから、私も物語の中で時々出てきますのでよろしく。うふふ。
出会いと再会
いつの間にここへ来てしまったのか。そうこの『白い家』と
「白いカフェ」。何も変わっていないので懐かしい。
ん?前で掃き掃除をしているのは、確か、マキさんでは・・・
アハ。今でも朝はマキさんが掃除をしている。変わらないなぁ。
「あっ!滝くん。おはよう。久しぶりだね。どうしたの?」
「アハ。おはようございます。お久しぶりです、マキさん。なん
となく足がこちらの方に向いてしまって・・・」
「そっか。まだオープンしてないけど入って。私は掃除中だから。
店長が中に居るよ。」
「ありがとう。じゃお邪魔します。」
なだらかな上り坂を行くと格子の引き戸があり、そっと開けると
懐かしい香りがする。そう、厨房からコーヒーの香りがし、全体に
は清々しい香りが漂っている。なにか、我が家に帰って来たような
気がする。
「いらっしゃ・・・おぉ。滝くんじゃないか。」
「ニシさん、お久しぶりです。大変ご無沙汰していました。」
「うんうん。久しぶりだな。姿は一応大人に、いや、社会人にな
ったなぁ。」
この人は、ニシさんこと西脇店長。この『白い家』や「白いカフ
ェ」の管理などを任されています。見た目はカッコいいのだけれど
性格がちょっと・・・オーナーはよくこの人に任せているなって思
っていたけれど、何故なのか後でわかったが・・・。そう、俺は日
曜日だというのに、スーツでネクタイをして来てしまった。何で。
『アラ。滝くん、お休みの日でもスーツですか。でも、よく似合
っていますよ。私も懐かしく思います。お会いしたかったです。も
うこの“白い家”のことは忘れてしまったのかと思っていました。
でも、どうしてここに来たのかしら、何か訳がありそうですね。』
「まだ、営業はしていないけれどコーヒーでも飲むか?」
「はい。いただきます。ありがとうございます。」
と言いながら、つい窓際の1番テーブルに座ってしまった。初め
てここに来た時もこの席だった。小さな庭が眺められてすごく落ち
着く席だ。
「どうした。滝くん。ここを出てから半年くらいになるが、元気
にやっているのか?何か疲れているような気がするけど。まぁ、ゆ
っくりして行けよ。アハハハ。」
「はい。ありがとうございます。」
『滝くん。ここに居たころを思い出しているようね。目が遠くを
見ているような気がします。うふ。』
やっぱり懐かしいなぁ。いろんなことを思い出す。そう。あれは
2年半ほど前で、もうすぐ春になるころだった。
「お~い。滝!どこへ行くんだ?」
「わからん。でも、この辺に“白い家”っていうのがあるらしい
んだよね。カツ、探すのを手伝ってくれよ。」
「白い家って、何それ?」
「よくわからん。一度行って見たいし、変わった家で、いろいろ
な物語がある家らしい。そこに居る人たちもちょっと変わっている
らしいね。」
「おまえ、そういうのが好きだなぁ。何にでも興味あるんだよな。
」
「あっ。あった!ここだ。・・・」
「ん?確かに白い。だけど、別に変ったところはないな。でも、
ちょっと面白い造りになっているなぁ。何か昔の数寄屋風建築であ
り、色のためかわからないけれど洋館っぽくも見えるね。」
「確かに。じっくり観てみたいな。」
そう、俺は建築には非常に興味があったのです。今、建築を学ん
でいて、先輩からちょっと変わった家とカフェがあるから、機会が
あったら一度見て来いって言われていた。その先輩もちょっと変わ
っていたけれどね。
「滝。誰か掃除をしているぞ。」
「そうだね。まだオープンしてないのかなぁ。」
「ちょっと聞いてみよう。」
「おい。カツ!待てよ。掃除中ってことはまだ準備中じゃないの
か。・・・」
あ~あ。行ってしまった。カツは流石、行動力があるんだなぁ。
というか、考えずに動くタイプってことか。
「お~い。滝。もうすぐオープンするんだって、入ってもいいっ
てさぁ~。へへへ。」
いい友を持って良かった。これからも頼りにしています。
「すみません。お邪魔します。」
「うふ。いいですよ。どうぞ。」
おっ。可愛い!・・・ちょっと服装が変かな。でも面白い。何と
いうファッションなのかな。何かインパクトがあるというか、変わ
った感じがするね。
『このファッションは、序曲でした。この女性は、マキちゃんで
す。後でわかりますが独特の感性を持った人でコロコロと服装が変
わります。すべてが手作りだそうです。詳しくは後ほどに・・・
あっ。そうそう。初めまして、私“白い家”と申します。以後時
々顔を出しますので宜しく。でも、滝さん、いいところに気付きま
したね。』
「いらっしゃいませ。どうぞ、お好きな席に。」
お店の厨房辺りから大きな声が・・・
「どこでもいいですよ。今日、最初のお客さんですから。」
どの席が良いかわからないけれど窓際の隅っこの席に着いた。す
ると、カツのヤツが窓に顔を付けて何か言っている。
「お~、綺麗だ。滝、見てみろよ。すごく手入れがされていて美
しい!」
「お・・・・・。」
それ以上の言葉は出なかった。カツの言う通りメチャメチャ美し
い。それに何か自然体って感じで落ち着く。見惚れてしまう。偶然
とは言え、いい席に着けた様な気がする。でも、どこからでもいい
眺めのようだね。
木と緑と苔。そして、芝。苔には所々に小さな草と花が芽生えて
いる。また、大小の石に白い小さな石が敷き詰められて、どこかの
日本庭園のように見えるけれど何かが違う。日本庭園に芝ってあっ
たかな?それにそんなに広くないのに奥行き感がしっかりあって見
惚れてしまう。いいコーディネートというか、アレンジメントされ
ている。まったく違和感がなく、感動すら覚える。
『滝さん。またいいところに気付きましたね。なかなかセンスも
良いようで洞察力もあるみたい。さぁ~これからどんなところに興
味を沸かせるのでしょうか。』
「はい。いらっしゃい。」
と言いながら、この声の大きな店員さんは、コーヒーを置いて行
ってしまった。
「あの~、まだ何も注文をしていませんが・・・」
「いいの。まずは朝のコーヒーでも飲みながらゆっくりメニュー
を決めてくれればいいよ。お2人さんは学生さんだね。この庭に興
味を持ったようだしゆっくりして行って。」
「すみません。ありがとうございます。」
「ありがとで~す。」
カツ。軽いヤツだな。こいつもかなりここが気に入ったようで、
キョロキョロしている。
「俺。ここ気に入ったよ。毎日でも来れそう。といってもお金が
続かないか。アハハハ。滝はどうだ?」
「うん。俺も同じく。」
何かわからないけれど、このカフェ、いやこの“白い家”は面白
そう。全部観てみたい。奥の方にも建物や庭もあるようだ。
『ね。今この小説を読んでいるあなた!この“白い家と白いカフ
ェ”に行ってみたいと思いませんか?うふふ。』
「すみません。この家をいろいろ見せていただいてもいいです
か?」
「ああ、いいよ。好きなだけ見てね。」
「店長。いいんですか?オーナーに了解をもらわないとダメじゃ
ないですか?」
あっ。さっきの掃除をしていた可愛い人だ。オーナーさんが居る
んだね。そして、声の大きな店員さんは店長さんだったのか。
失礼しました。
「マキちゃん。いいんだよ。興味のある人には全部見せてあげる
ように言われているから。学生さん、どうぞ好きなだけ見てくださ
い。」
「じゃ、遠慮無く見学させていただきます。」
ん?カツのスマホが鳴った。
「悪い!滝。彼女からの呼び出しだ。俺、先に帰るわ。滝はゆっ
くりして行きなよ。じゃな。ごちそうさま。へへへ。」
「えっ。俺が払うのか?」
って、もう行ってしまった。・・・
やっぱり、あいつは先に行動するタイプだな・・・。
あっ。うま!このコーヒー。朝一番だからなのかな。何か心に沁
みるなぁ~・・・俺はオッサンか。
いいカフェを見つけた。
カツの言う通り、頻繁に通いたくなっちゃった。
よし。見学しようっと。
あぁ~外に出られるんだ。デッキと回廊のような造りになってい
て、テーブル席もセットできる広さがあるな。このデッキから観る
庭も最高!・・・デッキかな?
いいタイミングで今、朝日に照らされて、大小の石や木と苔に芝、
そして、白い玉砂利が美しい。奥行き感と立体感がすごくいい。ズ
~っと観ていたいなぁ。この廊下も回廊のようになっていて、手摺
が無いんだね。それに、奥の建物の方へとつづいていて、遠近感が
よく出ている。庭も変化しているようで、奥の方も観てみたい。
あっ、さっきのコーヒーを飲んじゃおっと。
え~~。と思わず声が出てしまった。室内に戻ろうとしたら、朝
日が庭に反射して室内にやさしく入って、家具や小物、そして、イ
ンテリア全体を照らしている。直接入ってくる朝日と間接の光との
コラボレーションもすごく美しい。室内に居るだけではまったく気
付かなかったと思う。面白くって、やさしくって、美しい空間と時
間だ。
そっか、この窓側は東南方角にあるんだ。それで光をうまく取り
込めることが出来ているのか。そういえば10月ごろの月見の時な
んかは、いい月が観られて、そのあかりも良いだろうなぁ。
『いいぞ。滝さん。沢山いいところに気付いてね。うふ。』
このインテリアコーディネートも面白いな。
その席毎にイメージが異なったコーディネートがされている。レ
トロなセッティングや、オリエンタルなもの、和風っぽいものなど
があって楽しい。そして、置かれている小物たちもいろいろな表情
があって面白いし、癒される。俺のようなまだまだ、勉強中の者で
も感動するし理解できそうな空間だ。
細やかな所まで気配りされた高い感性が見えてくる。
ここのオーナーはどんな人だろう。
そして、よく見ると壁の素材、質感が面によって異なっている。
光が結構当たる面は、和紙風のやわらかな質感のある素材で、自然
な白色を使用している。逆に、光があまり当たらず少し暗く感じる
面には、やや光沢のある漆喰風の壁になっている。また、天井は格
子状になっていて、それぞれ枠内には、和紙、布、石、砂など異な
った素材が貼られていて、変化に富んだ楽しい面だ。夜、光に照ら
された天井や壁の表情が観たい。美しく、神秘さを感じるんじゃな
いかな。
「メニューは何か決まったかな?」
「あっ。すみません。じゃ、サンドイッチとスープを下さい。そ
れに、コーヒーをもう一杯。」
「オーケー。スープは特製の白いスープでいいかな?コーヒーは
サービスだから好きなだけ飲んでね。」
「はい。ありがとうございます。」
特製スープって「白いスープ」って何?何か期待をしている俺。
よく見るとこのコーヒーカップは、和風っぽいな。藍色の葉が一枚
だけ柔らかに描かれている。それに、カップの色も白色だけど少し
きなり色であたたかさがある。シンプルだけど深見を感じる。この
空間で見ているからかな。この白いカフェは細やかな所まで気配り
がされていて、お客をやさしく包んで癒しを感じさせるね。
いや、従業員の人たちも個性がありそうだけど優しい目をされて
いる。こんなカフェは初めてだ。もっとこの家のことを知りたい。
あっ。桜の木も植えてあるな。もうすぐ花が開くころだね。その
時、この庭はどんな表情を魅せてくれるのかな。それに、この桜の
木は大小2種類のものがあって、奥へ行くほど小さなものが植えて
ある。これも遠近感が出て、庭がより広く感じる。開花したら本当
に美しいだろうね。
「は~い。お待たせしました。サンドイッチとスープです。ゆっ
くり食べてね。後で感想を聞かせてね。」
「ありが・・・え!」
持ってきてくれたのはさっきのマキさんという店員さんだけど、
服装がガラと変わっている。まったく別人に見える。
一言ではこのファッションは説明できないし、理解できない。この
人は本当にカフェの店員なのだろうか。
「ん?どうかしたの?滝さんだっけ?」
「あ~、この服ね。ちょっと和に洋のクラッシックなアクセサリ
ーを組み合わせてみました。そして、片方だけ手袋をしてみたの。
どう?」
どうと言われても、よくわかりません。
「アハ。お似合いですね。」
この言葉しか出ません。
白地に白柄入り和服に、頭には花飾り。そして、渋い色合いのゴ
ールドとシルバーの玉のネックレスに白のレース柄手袋とイヤリン
グは桜の花。内襟には新緑のライトグリーンで、わずかに見える。
口紅はピンク、というより桜色かな。えっ、足元はピンク色のスニ
ーカーじゃないか。う~ん、理解不可能なコーディネートだね。そ
れに、本当なら色白だろうけれど、やたら白を使っているので少し
黄色おびた薄い茶色系の肌に見えます。でも、しっくりしていて美
しい。
ちなみに、エプロンは大正浪漫風のデザインでレース柄だね。
さっき、外で掃除をしていた時のマキさんは全身が黒だった。す
べてが黒で、サングラスに黒の帽子。そして、黒の手袋といったと
ころだ。サングラスはおそらくスッピンだからだね。これもやり過
ぎというか、何か、歌舞伎に出てくる黒子のようでちょっと変。で
も、もっと別のファッションも見たくなった・・・。
まっいいか。食べようっと。
「おぉ・・・・・」
声が出てしまった。アハ。
何?この器は。白いスープが入っている器は漆で塗られたような
深い茶色。それに、真っ白なスープが入っていて、そのコントラス
トが印象的で美味しそうに見える。サンドイッチの器も同じような
色で木目柄がはっきり出ていて美しい。サンドイッチの中は白だね。
アハ。鳥肉とカリフラワーに少しスパイシーな味の白いソースが加
えられている。今までに経験したことの無い味です。美味しい。
スープは、同じようなホワイトソース状のスープだけれど、中身
は、白いコーンに白と赤の小さなお餅が入っていて、和風っぽい。
けれどコンソメ風の味が効いたスープだ。このスープに入っている
赤も印象的だけど、サンドイッチに添えてあるパセリやトマトのア
レンジがとても美しい。
あっ、何か、料理の説明のようになってしまった。
『滝さん。すごく驚いているようですね。
そう、ここはオーナーが仕掛けた衣、食、住、そして遊びの心を刺
激する異空間なのです。だから従業員もお客様も特に常連様もちょ
っと異質な方が多い訳ですが、決して面白おかしくやっているので
はありませんよ。お客様に楽しんでいただき、身も心も癒していた
だければと思っております。
みなさまも是非一度ご来店ください。・・・って、それは無理で
した。アハハハ。
その中にたまたま入ってしまった滝さんは、これからどうなるの
でしょうか。どんな体験をするのでしょうか。あたたかく見守って
あげましょうね。』
なかなか理解するのは難しいけれど、ますますこのカフェに、家
に興味が沸いてきた。・・・よし!決めた!
「すみません。ごちそうさまでした。美味しかったです。」
「はい。ありがとうございます。また、是非来て下さい。他にも
いろいろメニューがありますし、個性的な従業員が居ますので。・
・・建物や庭も観てくださいね。」
「あの~、ここって店員は募集していませんか?」
『あらま!言ってしまいました滝さん、いや、滝くん。すっかり
この空間や人、物に魅了されたみたいね。店員は一人足りていない
から良いかもしれませんが、条件付きですよ。店長であるニシさん
から聞けるとは思いますが大丈夫かな。うふふ。』
「店長。ニシさん。こちらの学生さんがここで働きたいって言わ
れていますが。」
「ふ~ん。条件を受け入れてくれたらオーケーよ。」
「えっ。条件は何ですか?」
「条件は一つだけ。住み込みで働くこと。この家の隣にはレンタ
ルルームがあって、俺とオーナー以外は基本的には住み込みをお願
いしているけどね。どう?」
そうなんだ。いいチャンスかも。実は、今、寮生活で2年が過ぎ
ようとしているけれど、もう飽きているところ。引っ越しをしたか
ったんだよね。
「了解です。住み込みでお願いします。」
「よし!その他の条件は、家賃5万円に共益費はなし。光熱費や
食費は自費でよろしく。以上。あっ、食事は店内でまかない料理が
あるから、多分ほとんど必要ないとは思うけれどね。」
「はい。いいですね。是非お願いします。ところで、部屋の広さ
はどれくらいです?」
「広さは、約40㎡でワンルーム。バス、トイレ、ミニキッチン
付。それから、家具も一式付いているよ。部屋はそれぞれ少しデザ
インが異なるけどね。
あっ、それにメゾネットになっていて、2階部分が6畳程度で狭
いが自由に使っていいよ。」
「えっ。広い!40㎡プラス6畳の部屋って広いですね。よろし
くお願いします。」
「広いといっても、2人で住んでいるのも居るからね。うまく使
ってね」
「滝くん。私たちの仲間にようこそ。私はマキです。フルネーム
は和田麻紀です。よろしく。他の従業員はまだ来ていないので、そ
の都度紹介するね。結構みんな変わっているからびっくりしないで
ね。」
「アハ。よろしくお願いします。」
「ということで、今の食事はまかない食ということで無料です。
エヘ。」
「えっ。今から働くんですか?」
「そそ。人手が足らないからよろしく。荷物は今度の休みの日に
みんなで取りに行ってその後は歓迎パーティーをしよう。
あっ、俺は店長の西脇です。みんなニシさんと呼んでいるが、お
客様の前では店長って呼んでね。よろしく。」
『滝くん、ごめんね。一人足らないから急ぎ探していたのよ。
渡りに船ってとこね。
あっ、そうそう私は、“白い家”です。本当の名はまた後ほどお
伝えしますが、よろしく。いろいろあるとは思うけれど。いろいろ
ね。うふふ。』
何か面白そうだけど、大変な所に来てしまったような気もする。
来店されるお客様も変わっている人が多いような・・・
少し、不安だけれどこの空間が気になる。
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