春はあけぼの

「じゃあさ、みんなでLINE登録しようか?」

夏樹が皆を見回して提案する。


「ホントに?嬉しいィ教えて!」

好奇心旺盛な春海が興味津津な顔で覗き込む。


「わたしも知らな〜い!」

そして真冬も輪に加わる。


「私も家族以外と使うのは初めて♪」

千秋もあまり詳しくは知らないみたいだ。


「グループで登録すると、スマホのネット使ってチャット通信が出来たり、グループ間の友だちには電話代掛からずに通話出来るんだ。」


「えーー!凄くない?でもおバカなあたしのスマホでも出来るかなぁ?」

春海が不安そうに呟く。


「春海はスイカ頭でもスマホはお利口だから大丈夫だよ。」

夏樹が慰さめてるんだか、茶化してるんだかよく判らない返答をする。


「ぷぷっ」

真冬と千秋が同時に噴き出した。


「な、何気にひどいわ夏樹もみんなも。スイカ頭は今後絶対禁句だからね!」


「冗談、冗談。ほら貸してみて、登録したげるよ。」

夏樹が春海からスマホを受け取る。


「夏樹、わたしのもやって〜!」

「私も私もー!」

真冬も千秋も自分のスマホを差し出しおねだりした。


「ハイハイ、順番にやったげるから待ってて。」

夏樹はテキパキと作業を進めていく。


みんなは思った。

“機械に強いコがいて助かったァ。これからスマホのことは総て夏樹に相談しようっと”と。


そんなこととはつゆ知らず、ニコニコ顔の夏樹は早くもつぎのスマホに取り掛かっていた。

女同士とは、かくも腹黒い生物である。



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