小学生時代

幼稚園や小学校に通っていたころ、私は「普通」の子供だったのだと思います。

私が住んでいたマンションには目の前に公園があり、そのマンションには同じ年の子が多かったので、毎日みんなで遊んでいました。

私の兄と、私と同じ年の女の子Cちゃんの兄が同年齢で、その2人がみんなを引っ張る存在。

私と同い年の子は男子が3人、女子はCちゃん1人。

あとは私と同年代の子の弟や妹たち。

男子も女子も変わりなく、みんなで仲良く遊んでいて、そこはもう一つの学校のような、私の「居場所」でした。


マンションの前の公園は、さほど大きなものではありません。

けれど、囲いのフェンス沿いには桜の木が並び、春には桜の雨が見れました。

他にもヤマモモの木があり、実がなると木に登ったりして取って、軽く洗ってそのまま食べる。

とても自由で、楽しい場所でした。


あとはそう…公園に迷い込んできた猫と遊んだりもしていました。

今思えばどこから来たのか不思議なものです。けれど、彼らもまたみんなの遊び相手でした。

木に登って「おいで」と呼べば、にゃんと鳴いて一緒に木を登ったり。

とても可愛い子たちでした。

その頃は私もまだ「普通」だったので、猫に触った後に目をこすったりしていました。そのせいで目が赤くなってかゆかったり痛かったり。「ちゃんと手を洗いなさい」と母に怒られることもしばしば。

猫だけでなく、虫を相手にしていた時もありました。

カマキリを捕まえて飼って、みんなが自分の育てているカマキリを自慢したり、カマキリの餌のためにバッタやコオロギもよく捕まえてました。

同じ年に男子の方が多かったせいか、毎日走りまわていたり…私は運動が得意な方じゃなく、足も遅かったのですが、兄2人やCちゃんが気を使ってくれて、みんなと同じように遊ぶことが出来ていました。


それとは別で、私は小さい頃から本を読むのが好きでした。周りの子は小説よりも漫画が好きなようでしたが、私は断然小説派。買ってもらうなら漫画より小説!

初めて買ってもらった小説は、厚さが10センチはありそうな2冊セットのグリム童話。小学生なりに解釈して何度も読みました。


通学中に読みながら歩いて二宮金次郎状態になることもしばしば。

本を読みながら歩いている私を見て、一緒に歩いている友達はわざと急に立ち止まったりしてからかってきましたが、私はどうも視野が広いらしく、友人たちの行動はすべて見えていて、ぶつかったことがないのは不思議です。


そして出会ったのが「ペガサスの翼」という児童書。

その本は、ちょっとしたことで学校に行けなくなってしまった女の子が、牧場で傷ついた馬に会い、その馬や動物との触れ合いを通して学校へ行けるまで立ち直る話でした。


もともと動物が好きだった私は、この作品を読んでから馬が特別好きになり、将来の夢は牧場を持つこと! と思うようになります。


遊んで、本を読んで、目標となる夢を見つけ、いろんなものを学んでいく。

他の子たちと変わらない、普通の生活。

パッと見るとそう思える暮らしでしたが、今思えばこの時から病気の予兆はあったのです。

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