咲く花と愛しさと青春と ~「にごたん」短編集~

並木坂奈菜海

 

第七回にごたん(初参戦!)

咲く桜と散る桜

【アシンメトリィ】

【涙の理由を】

【次回作にご期待ください】





「うぅ…うぅ…うわーん!!!」

「どしたのぉ、ゆりっぺ?朝からそんな大泣きして」

「これ見て…」

 To:小宮由里

 Title:【抽選結果のお知らせ】

『今回は、「桜庭涼葉 LIVETOUR 2016 in Tokyo」にご応募いただきまして、ありがとうございました。

 厳正なる抽選の結果、誠に残念ながら、ご希望に沿うことが出来ませんでした。誠に申し訳ございません。またのご応募、お待ちいたしております。』

「あー…まあ、そういう事もあるわよ。きっと次は当たるよ。多分…」

「ちーちゃんはどうだったの…?」

 どうしよう。すごく言いづらい。


 「えっとね…当たった」

「え…?」

 なんだろう、空気が一瞬凍りついたような気がする。

「すずちゃんのライブ、当たったの」

「…へぇ、そうなんだ。あたしの分まで楽しんできてね、ちーちゃん」

 そういったゆりっぺの顔は笑ってたけど、すごい怖かった。





 桜庭涼葉。


 少し前までは「知る人ぞ知る」くらいの知名度だったのに、去年ドラマの主題歌を担当してから大ブレイク中のアーティスト。ちなみにそのドラマは視聴率30%以上だったとか。

 私と、幼馴染の「ゆりっぺ」こと小宮由里はブレイク前から涼葉さん…「すずちゃん」のファンで、ライブにはファーストライブから参加しているほどの大古参。今回は初のドームライブということで、チケットが抽選になることは事前に予想されていた。応募した時は意気揚々としていたけれど、ふたを開けてみたらこんな事に。いったい誰が予想しただろうか。




 ライブに応募したのが2ヶ月くらい前。当落通知が来たのが昨日の夜中。2人とももう寝ているような時間だったので、当然メールやら何やらでそんな話は出来ず、となるとあとはこのHRが始まる朝の時間しかないわけで…




 「うわーん!!新衣装のすずちゃんが見たかったよぉー!!!!すずちゃんの可愛い顔も見たかった よぉー!!!あたしはこれからどうやって生きていけばいいのぉー!!!!」


 …なんかこの勢いだといろいろ呪われそうな気しかしなかったので、ゆりっぺをなだめるミッションに突入することにした。

 作戦時間は最大15分。それを過ぎればHRが始まる。失敗すれば私は今日一日、この娘の介護に追われるわけで…!そんなバッドエンドな未来には絶対させないんだから!

 と言う訳で・・


 作戦開始!!!!



 …To be Continued?

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