一般人の話

@ponpon00

第2話

OLの陽子は道を歩いていた。今日は快晴、仕事も溜まってない。仕事先に行けば余裕をもって仕事ができるはずだ。ほどほどに心地よい気分で道を闊歩する。今日の夕飯はカレーにでもしよう。

「あ、財布忘れた」

バスに乗るためにカバンを開いて財布を出そうとするとよく見慣れた赤色の財布が見当たらない。化粧ポーチと書類が何枚か入ってるだけだ。最近仕事が忙しく目の前のものの整理が疎かになっていた。これはいけない、自分を反省しながら腕時計をカバンから取り出す。こっちは入ってた。陽子は決してズボラではないが出かけるときに腕時計はせずにでるタイプだ。ズボラではないのだ。時間を確認した陽子はふむ、と頷きながら来た道を戻った。30分ほどならロスしても大丈夫だろうと判断した。だが、家にたどり着いてから後悔した。何にとは駅からここまで歩いてきたことにだ。

「私疲れてるのかな」

絞り出した言葉はそれだった。カバンの中身はほぼからだった。辛うじて化粧ポーチが引っかかっている。カバンの底に穴が開いていた。10cmの化粧ポーチが辛うじて転がり落ちない程度の穴だ。一体なぜこんな穴が開いたのか。陽子は家に入って昨日のことを思い出した。


続く

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