第6話・ロボット軍
暗雲たれこめる空の下。まがまがしくそびえ立つロボット要塞は、今や戦闘態勢がしかれようとしていました。すべてのロボット兵が宮殿前に集められ、出陣の時を待っています。凶暴なエネルギーがコードからお尻に注入されると、みないっせいに目のレッドランプを光らせました。目が赤く光るのは、ピストンが焼けつくほどの勢いでいきり立っている証拠なのです。その赤い光の整然とした隊伍は、背筋が凍るほどの不気味な光景でした。
前庭を埋めつくす鉄の戦士の一団を前に、ロボット王が壇上に上がり、憎悪をむき出しにして言いました。
「おろかな人間どもめ。余の出したふれに逆らうとは許せん!」
「はっ、おおせの通りでございます。王様のご命令が聞けぬとは、身分をわきまえないにもほどがございます」
ロボット側近がうなずきました。帝国に対する反攻作戦失敗の後、王様が出したみつぎ物倍増のおふれを、人間たちは突っぱねたのでした。人間はついに、ロボットを相手に立ち上がったのです。
「よかろう。そっちがその気なら、目にものを見せてくれるわ」
ロボット王は、手に持った軍配を曇天にかかげ、一気に振り下ろしました。
「全ロボット兵、進軍じゃ!」
それを聞いたロボット兵の一団は、太いコードをそれぞれのお尻から引きずりながら、ゆっくりと城門を出て荒野を行進しはじめました。目指すは人間の住む村です。これほどの大軍勢が一度に出陣するなど、見たことがありません。恐ろしいほどの数のロボット兵が続々と要塞からくり出され、それはやがて、ものすごい土ぼこりを巻き上げる大群にふくれあがりました。城門から吐き出されたコードの束は、その先が細く分かれて広がり、それは空から見ると、ロボット要塞からほどけて枝分かれしていく巨大なしめ縄のように見えました。そのすべてのコードが、要塞の中心にあるエネルギー源につながっているのです。恐るべきと言っていいパワーです。
ロボット兵を残らず送り出すと、ひとりきりになったロボット王は、玉座の上で高笑いをしました。
「自業自得じゃ、バカな人間め。これでそっくり絶滅させてくれるわ」
宮殿の奥の部屋で、エネルギー源がうんうんとうなって、戦いに向かうロボット兵たちに必死にパワーを送りつづける音が聞こえました。
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