くだらない自愛
霧星
第0話
ふと目を開けると、そこには青空が広がっていた。そよそよと風が吹いている。まどろんでしまいそうな陽気だ。
そういえば、あの大切にしていた手鏡はどこへ行ったのだろう。まさか、捨てたなんてことはないだろうし…。一通りポケットを探しても見つからない。あきらめかけて、胸の上に手を置いたとき、何かが手に触れた。首から下げた、あの手鏡だった。中央から少し上の左側に、大きなひびが入っていた。
ふと、頭の中に一つ疑問が浮かんだ。その答えを探そうと、体を起こしかけたとき、目に違和感を覚えた。手をやってみると、左目から何かがただれ落ちていた。
すべてが頭の中でつながった。私は、死んだのだ。信じがたい、信じたくない自分の内面、弱さを見て、自分で自分の左目をつぶしたのだ。
手鏡でそっと自分の顔を映し出してみる。大きなひびと、左目が重なっていた。
くだらない自愛 霧星 @fogstar
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
『短歌の秋』投稿作品最新/真朱
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます