第4話-②
下校の時間、昨日までの僕ならば、ハルさんと帰っているはずだ。
だがしかし、入れ代わった世界となった今、ハルさんは憑島と下校しているのだ。僕は、その後ろについていっている。僕と憑島が入れ代わったのだから当然ではあるが、なぜだか心がキュッと締めつけられるような感じがした。
そういえば憑島の家は、この世界ではどこにあるんだろうか。今までは、どこに帰っていたのかなぁ。そもそも帰る場所は、あったのか。
日常から非日常へ突如引きずりこまれるというのは、往々にして人生ではよくあることだが、こんな経験をした人は世界中を探してもそうそういないだろう。憑島は『少しの間だけ』と言ってたけど、どのくらいなのかな。
そんなことをあれこれ考えているうちに、いつもの僕たちが別れていたところで、ハルさんと憑島は別れた。憑島が笑ってハルさんに手を振っている。
こんな憑島の顔を、僕は想像したこともなかった。
「零士くん。」
「なんですか。」
「もうあなたは気づいたと思うけれど、あなたと私は入れ代わったの、あらゆる面で。つまり、あなたの家族は、今は私の家族になっているわけ。
だから、これから元の世界でのあなたの家に私は暮らすから、よろしく。」
「は、はぁ。なるほど、って、えっ??じゃ、あの、着替えとかは、どうするんです?」
「だ、か、ら、言っているだろ?
あなたと私は、あらゆる面で入れ代わってるの。わかった?」
憑島はそう言い放ってから、僕の返事を待たずにまた歩き出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます