第4話-②

下校の時間、昨日までの僕ならば、ハルさんと帰っているはずだ。

だがしかし、入れ代わった世界となった今、ハルさんは憑島と下校しているのだ。僕は、その後ろについていっている。僕と憑島が入れ代わったのだから当然ではあるが、なぜだか心がキュッと締めつけられるような感じがした。

そういえば憑島の家は、この世界ではどこにあるんだろうか。今までは、どこに帰っていたのかなぁ。そもそも帰る場所は、あったのか。

日常から非日常へ突如引きずりこまれるというのは、往々にして人生ではよくあることだが、こんな経験をした人は世界中を探してもそうそういないだろう。憑島は『少しの間だけ』と言ってたけど、どのくらいなのかな。


そんなことをあれこれ考えているうちに、いつもの僕たちが別れていたところで、ハルさんと憑島は別れた。憑島が笑ってハルさんに手を振っている。

こんな憑島の顔を、僕は想像したこともなかった。


「零士くん。」


「なんですか。」


「もうあなたは気づいたと思うけれど、あなたと私は入れ代わったの、あらゆる面で。つまり、あなたの家族は、今は私の家族になっているわけ。

だから、これから元の世界でのあなたの家に私は暮らすから、よろしく。」


「は、はぁ。なるほど、って、えっ??じゃ、あの、着替えとかは、どうするんです?」


「だ、か、ら、言っているだろ?

あなたと私は、あらゆる面で入れ代わってるの。わかった?」


憑島はそう言い放ってから、僕の返事を待たずにまた歩き出した。

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