廃村 アメジスト
12話 : 戦い方を見て学べ。
コジー「……なぁ、コレ、何だろうな。封印に使えって言ってたけど」
コジーは、先ほど赤ずきんに貰ったガラス玉を眺めている。
封印に使ってと渡されたものの、使い方も何も教わっていない。
シュガー「……そう言えば、本に “本当の意味でこの世を救ったものこそ、真の救世主となるだろう” とあったな。そのビー玉を使って行う封印が本当の意味での救い方なのか、今までの救い方なのか……まだ分からないな」
アッサム「薄い本と分厚い本とでは分けて考えたほうが良いのかな? 選ばれは勇者と、そうでない冒険者で違うみたいだし……」
シュガー「いや、一緒に考えた方が良いと私は思っている。だって、これをプレイしている人の中でたった6人しか正規ルートを攻略できないのは不公平だと思う。だから、きっと違う方法で正規ルートへ辿り着けるんだと思うんだ」
コジー「そうか? そうとも限らねぇだろ。他のゲームとかでもあるだろ、秘密ルートみたいなの。分岐次第でバットエンドにもハッピーエンドにも変わるとかさ。要するに最初の段階での分岐がこれなんじゃねぇの? 選ばれるかどうかって」
シュガー「それも、そうだが……」
コジー「それに選ばれたいならリセマラすりゃあ良いんじゃないか? それが出来るようにワールドが100こくらいあるんだろ。1つのワールドに10万人入れるとして、選ばれるのはその中の6人。だけどさ、10万人の中の何人が『自分は選ばれてない』って気づくか分かんねぇしよ」
シュガー「…」
コジーに言い負かされてしまったシュガーは苦い顔をしている。そんなシュガーを見るのは新鮮で、何だか不思議な気分だった。
アッサム「そ、そうだよ。最後の方に選ばれているかどうかが分かるって親父も言ってたし! だから選ばれてない人でも何かしら出来ることがあるんだよ!」
シュガー「……ちょっと待て。今、何て言った? お前の親父さんって……??」
シュガーが何か言いかけた時、道横の草むらが音を立てた。
アッサム/コジー/シュガー「…っ!?!?」
それは突然僕らの目の前に姿を現した。
魔物「ぐぉぉおおおお!!!!」
コジー「おい、構えろ! 来るぞ!」
コジーの言葉を合図にシュガーも剣を構える。僕も慌てて弓を構える。だけど、どうしたら良いか何もわからない。
そんな僕のことに気がついたらしいシュガーは僕に言った。
シュガー「アッサム。もし敵が上に飛び上ったら弓を射ろ。それまではそのままでいい。私たちの戦い方を見て学べ。得るものは沢山あるはずだ」
コジー「んじゃ、まずはスキルの使い方かなっと」
コジーはそう言うと盾を前に構え、声を張った。
コジー「ヘイト・ライジング! こっち見やがれ!!」
コジーの声とともに、魔物はコジーに向かっていく。まるでコジーしか見えていないような…。
僕は弓を構えたまま、その光景に見入ってしまった。そんな僕に気がついたシュガーは、僕に言った。
シュガー「アッサム、気を抜くな! 自分の身くらい自分で守れ! 敵の前でほおけてるやつなど助けはしないからな」
そう言い残すと、すぐさま魔物の背後をとった。そしてコジーのように口を開く。
シュガー「サンダー・ブロウ……っ!」
言葉に反応し、シュガーの持っていた剣が光る。その光は電気を帯びているように見える。シュガーはそれを振りかざし、魔物を斬りつけた。
魔物「ぐぉぉおおおお!!!!」
魔物は苦しみの声をあげて消えていった。あとにはお金と物が落ちていた。
ーーーポロロロン♪
頭の中に何か不思議な音が響く。辺りを見渡してみたが、僕ら以外に誰かがいるわけではなさそうだ。
気のせい……かな? それより…
アッサム「……す、凄いね、2人とも」
コジー「だろ? ちょっとは見直したか?」
シュガー「戦闘だけは褒めてやろう」
2人はそれぞれ剣と盾をしまうと、魔物の残した物を拾いに行く。
コジー「金は3等分でいいよな? …あ、前回の金、アッサムに分けてなかったわ」
シュガー「そうだな。ここらの相手はレベルが低いから良いが、念のため、次の場所で装備を一式揃えた方がいいだろう。それに自分に合った武器や装備の方が攻撃力も上がるしな」
僕はコジーにお金を受け取りながらシュガーに話しかける。
アッサム「やっぱり、これ返した方が良いよね?」
僕が今身に付けている鎧は、元々シュガーのもの。つまり、シュガーのための装備ということになる。
シュガー「いや、大丈夫だ。それは最初にもらえるノーマルの鎧。属性は関係無しに使える初期装備品だ」
アッサム「ぞく、せい? ノーマル?」
僕が首を傾げていると、先程まで誰もいなかった所から声をかけられた。
??「あのぉ〜、旅のお方でしょうかい?」
-*-*-*-
【アッサム ー村人ー】13歳(♂)
【シュガー ー冒険者ー】27歳(♀)
【コジー ー守護者ー】30歳(♂)
【?? ー??ー】26歳(♂)
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