超能力
「なぜだ・・・。なぜ僕は死ななかった。」
1人少年はつぶやく。周りには誰もいないビル街。風が吹き抜ける音だけが妙に反響する。
ー10分前ー
「今まで傍若無人な振る舞いをしてきた罰だ。さようなら、日本よ。超能力を使う者には消えてもらう。」
ESP細胞過大活性化装置のスイッチが押される。
ー1日前ー
「本日をもちまして、日本市民全員にESP活性化細胞の移植が終わり、それぞれが個々の能力の発現を終えました。日本はこの超能力を持って世界を統治していくことが使命であり・・・」
ー1月前ー
「能力発現してんのに何も出来ないとか不運だな。かわいそうに。」
「本当にね。他の人が発現してる細胞を移植しても超能力が使えないなんて。」
なぜ僕は能力が無いんだ。いや、発現はしてる。なのに何も出来ない。世の中は不平等だ。
ー1年前ー
「先日発明されましたESP活性化細胞の国民への移植が法的に強制のものとなりました。ESP活性化細胞とは超能力を発現させる為の細胞であり、神の力とも言えます。健康への被害は無く、それどころか能力の発現により今よりも格段に良い生活を送れることが見込まれており・・・」
ーそして現在ー
そうか、やっと分かった。僕の能力は超能力を決して使えなくなる、と言う超能力か。何とも皮肉な能力だ。まるでバベル塔が崩れる時に中に居ながら死ななかった民衆の様な気分だ。
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