鑑
「もう終わりにしましょう。」
「なぜだ・・・、なぜばれた。」
深夜の街外れ、2人の男が対峙する。手には片や拳銃、もう1人はUSBメモリー。勝敗は明らかであった。
「大人しく捕まってください、そうすれば危害は加えません。」
「わ、わかった。頼むから撃たないでくれ・・・。」
こうして男は投降した。
次の日、男の事情聴取を眺めながら話す2人。
「良くやったA。お前が夜まで張り込んでくれたおかげで捕まえることが出来た。」
「いえいえ、大したことはしてませんよ。」
「しかし警察内の機密情報が抜き取られた事に気付き、その上犯人まで捕まえるなんて信じられん。」
「普段からパソコンの履歴などは、必ずチェックするようにしてるんです。」
「まるで警察の鑑だな。後で表彰状と賞金が送られるらしいぞ。それに出世もあるかもな。」
「それは嬉しいですね。」
そこに取調室から警官がやってくる。
「事情聴取の結果、犯人はデータの抜き取りを何者かに依頼されていたものと思われます。」
「その人物は特定できないのか?」
「はい。犯人も分からずやっていたようなので・・・。」
「ちっ、また一から捜査か。おい、A。聞き込みに行くぞ。」
「了解です。」
これじゃあ俺が依頼したことは、誰にもバレそうにもないな。
Aは内心ほくそ笑む。
何と完璧な犯罪の鑑なのだろう。
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