世界の終わりのバンドボーイとバンドガール

「もしも世界が本当に終わっちゃうとしたら、何をする?」

「そうだね……歌おうかな」

「歌?」

「そう、最後のその瞬間まで歌ってると思う」

「それは、どんな歌?」

「多分、ラブソングだね」

「誰へ向けた?」

「全部だよ。世界のこと、過去のこと、自分のこと。それと……」

「それと?」

「君のこと」

「照れるじゃねーかい」

「でも痛快だろう? 自分勝手に終わっていく世界だって愛してみせるよ、僕は」

「素敵だね。それじゃあ私は後ろでギターを弾いていてあげよう」

「お願いするよ。出来れば歌も唄って欲しいんだけど」

「それは、無理」

「どうして?」

「多分きっと、泣いてるから。悲しいのと嬉しいので」

「そっか」

「だからあなたは泣かないでね」

「ちょっと酷いなあ」

「愛するなら、強く在らなきゃね。私もなるべく泣かないように頑張るからさ」

「それは愛して貰ってるって受け取っても良いのかな?」

「うん。世界のちょっと上ぐらいには愛しているよ」

「照れるぜ」

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