二十一

私の摂食障害はほぼ完治したと言ってもいいと思う。


治療を受けさせてくれた両親と理解のある恋人のお陰としか言いようがない。


生きている間に伝えたかったのだが、

死に様が父らしく余りに幸せそうな顔だっだので、

感情が形容し難い。


今も私は絵を描いている。時折仕事も頂く。

これはSのお陰だ。名刺も一応ある。

昨年父の部屋を整理する際に、

私のデザインの違う数枚の名刺があった時には、

流石に辛かった。

その部屋に、父のイニシャルもSなのだが、

幼い頃、喘息持ちの父に薬入れとしてSの刺繍を入れて作った巾着が(Sが逆になっているのだが。)二十年以上も大切に、使われていた。


私は今迄如何して父がこんなに家族を大切に想ってきたことに気付かなかったのか。


逝った大切な人達は後になって、

大切な事をきづかせすぎる。

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