1話目
私の人生は、それなりに順風満帆といって良いくらい、上手く進んでいた。
成績は上位をキープ。運動もそこそこ出来る。
容姿も、それなりに気を遣っていれば普通に可愛いはず。
自分的には、完璧だった。
もう、今なら藤原道長が「この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば」と詠んだ時の気持ちがわかるってくらい。それくらい、順調。
地元の大学に進学する事も決まっていて、人生設計も完璧。
さあ青春に足りないピースを埋めなければ、と浮かれ調子で考えたのがダメだった。
私の青春に足りなかったピースは、恋。
恋愛が、足りなかったわけだけれど。
浮かれたまま意中の男の子に告白して、あっけなく撃沈。
満月はあっという間に瘦せ細り、三日月へと変化してしまった。
私は推薦で大学進学がもう決まっているけれど、他の子は受験勉強真っ最中なのだ。
つまり…「恋愛なんてしてる暇ねえ」って感じのところに、もう合格が確定しているお調子者が私と恋愛をしてくれと言い出したというわけだ。
かなりドン引きした引きつった顔をした彼を私は忘れないだろう。
全てがうまくいっていたのに、恋愛というピースがはまらないから私の高校生活というパズルが完成しない。
行き詰まってしまったのは、もっと前のところからミスをしているからなのだろうか。
振られた。
それだけのことなのに、私の心は一気に粉々にされたようだった。
ああ、穴があったら入って引きこもりたい。
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