第8話 王宮の封筒

星観の間より二週間


=王宮訓練所=


『どうなってやがる、降参だ 剣を収めろよ』

男は膝をつき、喉には剣が向けられていた。


しかし、男から発する光は消えず、警戒する中

私が剣を収めるのと同時に、男は地面の砂を一握りして力の限り

顔を狙い投げようと、振りかぶったが

私は納めていた剣を再び抜刀し

『卑怯ですね 卑怯な事をしても、負けるあなたに男だの女だの言う資格はありませんよ』


剣は男の右腕を今にも落としそうな位置に維持され、男は横目で

確認すると右手から力が抜け、そのまま身体全体に伝染し

地面にへたり込み、大声で負けた悔しさを叫んでいました。


身体から光も消え、安心して剣を収めると、室内から男が拍手しながら此方に

近寄ってきました。


現れたのは私を王宮に誘った張本人ロッドでした。

『見事、見事 やはり私の目に狂いは無かった』

『しかし、早いな全てにおいて、まさか剣術がこんなに早く上達するとは思わなかったよ』


王宮に入ってからロッドが、かなり上の立場の方と知り

話す機会も無く、久しぶりに話かけられました。


会釈する私に

『最近噂になっているぞ、少女の剣技に王宮の手練達も次々に破れた・・とか

二週間前とは別人になっている、彼女に何かあったのか・・とかね』

ロッドは先ほど敗れた男を追い払い、少し怖い顔をしながら私の耳元に顔を近づけ

囁くように


『正直に聞こう、見えてるのかお前には光が』


不意に真実を突かれた私は、反射的に顔を離し

『光とは何の事ですか、言ってる意味が私には・・』

言い切る前に、ロッドから視線を外し地面を見てもう一度、続きを話そうとしたら

ロッドは先ほどまでの顔を止め、微笑んでいました。


『まぁ、別にどっちでも良いんだよ私はは ただ、アイナが急に強くなったから

もしかしてと思ってだな

でも剣精・・私は信じるかな』

歯を見せながらニっと笑うロッドに安心しつつ私は、いらっしゃった用件を尋ねる事に

すると、封筒を取り出し、私に差し出してきました。


『さて、この二週間で王宮内の剣術に関しての力関係が色々変わってしまってな

本来なら別の者に白羽の矢が立っていたんだが

一番強いのが、アイナになってしまったからな』


腕を組みながら少し嬉しそうに語りかけてくるロッド

封筒に目をやる私に対して


『その封筒には、王宮からの任務が記載されている、自室に戻り内容を確認しておいてくれ』


そう言って訓練所を後にしたロッド

徐々に認められつつある状況に喜びを感じながら私も自室に戻りました。








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